中国図書の聖地「東方書店」と「内山書店」も掲載、「外国語を届ける書店」(白水社編集部)~9つの外国語専門書店へのインタビュー

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「外国語を届ける書店」の表紙
目次

外国語専門書店のインタビューを通して9つの書店を紹介する「外国語を届ける書店」

今回は中国語の学習とは関係はないですが、中国学習者または中華ファンならば気になる書籍の紹介となります。

それは先週末の土曜(1/18)の日本経済新聞読書面で紹介されていた「外国語を届ける書店」という本。

日本経済新聞(2025年1月18日)の読書面(29面)
日本経済新聞(2025年1月18日)の読書面(29面)

件の読書面の新聞記事中の本のタイトルを見て関東圏在住の中国語学習者にとっての外国語、つまりは中国語の書籍を売っている書店と言えば神保町の東方書店と内山書店だよなと思いながらじっくり読んでみたら、ほらやっぱりという具合に東方書店の名前が文中に出てきたのでした。

よくよく考えると白水社編集部から出ているので、中国語の書店に比重が置かれるのはまぁ当たり前ですかね(笑)

この本では他に7つの言語の書籍を取り扱う書店も掲載されているのですが、書籍紹介文でわざわざ東方書店が取り上げられています。

うん、やはり東方書店の異色さは群を抜いていますからねぇ(笑)。これは買うしかないよなと翌日に購入。

目次をみると中国の書籍を届ける店として、東方書店だけでなく内山書店も掲載されていました。

東方書店と内山書店の部分は当然真っ先に読み終えました。今のところ他の言語の本を届ける店についての部分はいくつかしか目を通していません。

この二つの書店についてはもちろん中国語学習者の視点で面白く拝読できましたし、それだけでなくどの言語の書店にも「書店経営」についても文字を割いて紹介してくれていて、なかなか一般人では知り得ない書店経営の内側を知ることができてとても面白かったです。

Youtubeチャンネル「中国知っとかNAITOチャンネル」で紹介された東方書店と内山書店

東方書店と内山書店に行ったことがない方は、先にYoutubeチャンネル「中国知っとかNAITOチャンネル」を見て、どんな書店なのかイメージを掴んでから、本書を読むとより楽しめると思います。

内山書店

本書では先に内山書店が紹介されていましたのでまずは内山書店について書かれていたことを一部紹介。

先ほどの動画でも、そして書籍の中でも触れていますが、内山書店は中国の過去の著名な文人とのつながりが深い書店のようで内山書店の店名の看板の文字は中国の教科書に出てくる文学者で歴史家の郭沫若が書いた文字だそうです。

と言っても私は郭沫若の事知らないです(汗)

内山書店の外観
内山書店の外観

ただ、魯迅なら日本人の多くが知っている人物でしょう。内山書店のルーツは上海でキリスト教系の書籍を販売したことから始まり、当時魯迅が頻繁に内山書店を訪れていたそうです。

この書籍は書店の運営者のインタビューを通して書店を紹介していますので、店主の人となりも少し垣間見ることができます。

内山書店の店主内山氏が中国に行ったのは中学二年の時に家族で旅行した時が初めてで、その時の衛生面等の環境から中国に対しては特によい印象をもっていなかったとのこと。

その後大学で中国語を履修して大学生の時の中国への旅行が勉強に本腰を入れるきっかけとなったのでした。

タクシーや町の小籠包屋でぼったくりにあったりしたことで、中国のことを嫌いになったり嫌になったりせずに、逆にコミュニケーションが大事だ、こういうときに言い返すために中国語を学ばなければならないと意識が改まったそうです。

内山氏曰く「中国人と喧嘩をするために中国語を勉強する、そういうノリ」だそうです。

後半ではその後の内山氏の中学留学後の中国語習得過程や、店の経営についての事柄が書かれています。

このなかで内山書店として独自なラインナップを示す記述として、自分が見て面白いと思う本を仕入れているので、中国を批判するような内容の本も仕入れている点

この点は内山氏が中国に抱いた第一印象や、中国語を学び始めたときのスタンスを踏襲しているのかもしれませんね。

また書店業界の厳しい現状から著者のトークイベントを行ったり、ブックフェスを催したりしているとのこと。

私はこのようなイベントが行われていること知りませんでしたので今後はちょくちょくチェックしておきたいな、と思いました。

内山書店のXのポストでは新刊情報を割と頻繁に発信しているのでフォローをお勧めします。

ブックフェスではありませんが、一階レジの横ではちょくちょく特定のテーマをもうけたミニフェアが行われています。

以前内山書店に行ったときは中国語版の日本の小説と原本を並べて展示し「対訳で学ぼう」というフェアを開催していました。

内山書店を訪れてみて特徴的なのが2階フロアに行くと中国以外のアジアの書籍もいっぱい置かれているところ。本書の中に2010年に「アジア文庫」を吸収合併したとあり、ようやく合点がつきました。それ故にこのようなラインナップとなっていたんですね。

内山書店の紹介全体通して、内山氏が中国にたいしてポジティブでもネガティブでもなくニュートラルなスタンスをとっていることが感じ取れました。そういった視点で内山書店のラインナップを改めて眺めてみるのも一興でしょう。

東方書店

東方書店の外観
東方書店の外観

神保町で中国関連書籍の店と言えば内山書店と、この東方書店

いつも不思議に思っていたのですが、なんでわざわざこんなマニアックな分野で、東京で随一の中国語書籍のラインナップを誇る競合分野の2店舗が距離20メートルに満たないエリアに店舗を構えているのだろうか?ということ。

結局本書にはその理由は記載されていなかったので理由はわからずじまいでしたが・・・。

それとは別に、東方書店には大阪にも支社兼店舗があること、本書を読んで初めて知りました。

それはともかくユーチューブの中国知っとかNAITOチャンネルで拝顔したことのある東方書店のソフトな人当たりの田原店長の人となりが本書では詳しく紹介されていて意外な一面を知ることができました。

内山書店の内山氏同様、田原店長も中国留学経験があるのですが、その時期と経験されていたことが想像もつかないことでした。あのソフトな語り口の田原氏とはまるで結び付かないような経験。

なんと、留学時に天安門事件が起こり、それだけでなく天安門広場に居合わせていたというのです。そのへんの経緯に関しても本書では詳細を記してあるのでご興味のある方は是非読んでみてください。

東方書店は主に大学の研究者向けの本を扱っていて、確かに店内を眺めると専門的な書籍ばかり。中2階に上がると中国の出版社が外国人中国語学習者向けに出版しているテキスト等も多く目に入ります。

我々一般の中国語学習者にとって一番馴染みがあるのはやはり店を入ってすぐのレジ前のブース。日本の出版社から出されている中国語学習書籍が並びます。またそれと一緒に「なんじゃこりゃ?」といった中国関連の同人誌もいくつか並べられているのがとても面白いです。

このあたりは本書で田原氏も述べていて、中国のコアなコンテンツファン向けの書籍も扱うようにしているんだそうです。

本書で紹介されていた同人誌として「科挙対策 律令」という科挙の受験マニュアルだったり、「台湾自動販売機コレクション 2023」という個人的に非常に興味を引かれるものがありました。

ちなみに中国語学習者ならご存じ、東方書店の中国語学習書籍も出版されていて出版部門もありますね。

中国語検定を受験したことある方ならおなじみ、試験が終わり会場のフロアにいつも東方書店のブースが設けられていて、中国語の学習参考書の即売会が行われていますよね。

中国語学習者にとってよく知られている「HSK6級 読む聴く覚える2500」、これも東方書店から出ています。

個人的に、最近買った中でめちゃめちゃ良かったなぁと感じた本は以下の「文章力をワンランク上げる 中国語接続詞用法辞典」。

中国語の接続詞ってなかなか使い方をマスターするのに時間がかかりますが、この参考書では各接続詞を中国語作文の実践をしながら習得することができる良書です。

中国語の作文では接続詞が使えるようになると、長文を書くのがだいぶ楽になります。HSK6級対策や中検準一級対策としてもかなり使えますし、普段の会話でも接続詞を使えるようになります。

話がそれましたが、終わりの方に東方書店ではSNSでの発信にも力を入れているとあり、確かに東方書店のXはわりとこまめに投稿がされています。面白そうな新刊についての情報もいち早く得ることができるのでフォローをおすすめいたします。

今回私が目にした日経の書評コーナーの記事も神保町東方書店のXで早々に取り上げていました。

ちなみにこちらは神保町ではなく、東方書店の公式Xとなります。

まとめ

「外国語を届ける書店」で紹介された内山書店と東方書店の内容は、主に店主のインタビューを通してその書店のラインナップのコンセプトと書店経営についての内容が中心に書かれていましたので、中国語学習者として興味のある学習参考書情報はほとんど触れられていません。

ただ、この2店の書店は中国語学習者なら一度は寄ってみてもらいたい書店です。

内山書店は入り口を入ってすぐの1F中央の棚に日本の出版社が出版している中国語参考書と、中国の大学の出版社などが出版している中国語テキストが沢山並べられています。

東方書店は1Fレジ前と、中2階に学習参考書、テキストが陳列されています。

特に、中国の大学出版社が出版しているテキストはAmazonなどで検索してもなかなか中身を確認できず、表紙と解説、購入者のレビューから想像して購入せざるを得ません。

日本の出版社が出版している学習参考書は主に初中級レベルのものばかり。中上級の内容を学ぼうと思うとどうしても中国の大学出版社が出版しているテキストが必要となってきます。

現物を見てから購入したいという方にはこの2店の書店では現物を手に取ることができますので東京都心に訪れる機会がありましたら是非一度立ち寄ってみましょう。

ちなみに、中国の出版社のテキストを使いたいという人は、以下の過去の記事もご参考ください。

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