中国語“通过”と“经过”の使い分け公式

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まえがき

※手っ取り早く解説を参照したい方は下部「例文」へジャンプしてください。

“通过”と“经过”はどちらも介詞(前置詞)で、多くの文においてどちらも使えるケースが多く、意味もほとんど同じになることが多いのですが、条件によってどちらか片方しか使えないケースもあり、その使い方の区別がいまいちわかりにくく、中国語学習者の頭を悩ませていると思います。

その疑問をすっきり整理してくれる資料を先日中国人の老师からレッスン中にいただいて、

 
SAGA
おお!これだよ、これ!

と長い間の“通过”と“经过”の使い分けの悩みを解決してもらえて、ちょっと感動したので皆様にシェアしたいと思います。

資料は「对外汉语教学语法释疑201例」から引用されたもので2004年に商务印书馆から出版されたもののようです。すべて中国語で書かれていますが、解説部分は平易な中国語なので“通过”と“经过”の違いを悩む段階のレベルの方には読むうえで問題ないでしょう。

今回は“通过”と“经过”の違いについての部分のみの資料をいただきましたが、お話によると、このテキストには“以前”と“从前”との違いや、“之间”,“之内”,“中间”との違いなど、中国語学習者が使い分けに迷いやすい語句群を主に解説している内容のようです。

うーん、このテキスト日本語訳版とか出ていないのかなー。あればすごーく欲しいです。もちろんこの手の判別しにくい語句群を解説している参考書は既に沢山出されています。しかし、「对外汉语教学语法释疑201例」の“通过”と“经过”の解説資料を見た限りでは、語句の意味の違いを豊富な文例パターンや図や式などを用いて論理的に解説してくれている事が見受けられるので、理解があいまいになるということが起こりにくい構成になっており、比類なき唯一の文法解説本だと思います。

我々外国語学習者にとって参考書に求める条件は、使い方のパターンを網羅していること、そしてどのパターンにどのように当てはめるかを論理的に解説していること、それらを満たしていることに尽きます。言葉だけでだらだら説明していて、結局どのパターンに当てはめればいいのかわからない、そういう参考書が多くて辟易しちゃいますよね・・・。

日本のAmazonでは取り扱いはありませんが、アメリカのAmazonには出品者がいらっしゃいました。

また、ネットで簡体字ではなく、「対外漢語教学語法釈疑201例」と日本語字体で検索すると幾つか結果が出てきますので、興味のある方は各輸入書店からお求めになるのもよいでしょう。

例文

まずは例文から。
※本投稿で使用する例文は「对外汉语教学语法释疑201例 商务印书馆 2004年 彭小川,李守纪,王红 著」より引用させていただいています。また解説部分は中国語の解説を読み自分なりに解釈したものです。

(1)我们通过谈话来增进互相之间的了解。
(2)通过电视,我们看到了外面的世界。
(3)我通过他的母亲增加了对他的了解。
(4)经过认真考虑以后,他提出了自己的建议。
(5)通过谈话,我们增进了互相之间的了解。 →经过もOK
(6)经过大家的帮助,他的汉语有了很大的进步。 →通过もOK

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“通过”と“经过”の使い分けの公式

さて、ここからが本題。“通过”と“经过”の使い分けは以下の条件公式に従います。

“通过”と“经过”の使い分けの公式

先を読みたいという方、まずははやる気持ちを抑えてこの公式を図を見ずに口に出して言えるようになるまで覚えてください。必ず口に出して言える、ということが重要です。それが真の「覚えた」ということなのですよ。繰り返し口に出して言えば2分もあれば十分でしょう。

“通过”のパターン

まず、簡単なところから整理していきましょう。

後ろに続く媒介(語句)が、东西(物)、人なら“通过”

これは迷いようがないですね。例文の(2)、(3)に当たります。

(2)通过电视,我们看到了外面的世界。 电视は物
(3)我通过他的母亲增加了对他的了解。 他的母亲は人

もう一つ

後ろに続く語句が、活动(手段、過程)で、後ろに続く句が結果、目的の内容となっていれば“通过”

例文(1)は“通过”の後ろが“谈话来”のように~来が付くことでA来Bの目的の使い方で「AによってBする、Bの為にAをする」という意味になりますので、後ろの語句が目的となるパターンは“通过”一択と判断できます。

(1)我们通过谈话来增进互相之间的了解。

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“经过”のパターン

これは例文(4)に当たります。

“经过”の後ろが過程の内容、そして“~以后”となっており、after~※1の条件を満たし後ろの語句が结果/变化なので“经过”となります。

(4)经过认真考虑以后,他提出了自己的建议。

※この例文に関しては最初見て考えたときいくつか疑問が湧いたので老师に結構質問しました。まず、「“认真考虑”って过程(過程)ともとれるし、活动(手段)とも考えられますよね?」という質問をしました。これに関してはもし例文に“以后”がついていなかったら“通过”と“经过”どちらも使える、との回答でした。(例文(5)のようなパターン)※下記両方使えるパターンもご参照ください。

また「後ろの語句の“结果/变化”について、“他提出了自己的建议”は结果と变化のどちらに当てはまるのですか」という質問もしました。回答は结果と变化の判別については文章によっては判別がつきにくいので両方当てはまるケースもあるととらえていい、とのことでした。もちろん文によってはこれは状態の変化を表すと容易に判断できるものもあるので、その場合は“经过”が適用されると判断できます。

“通过”と“经过”両方使えるパターン

さてさて、最初公式にを見たときに、「ん?」と感じたポイントがあったと思います。

 
SAGA
“通过”と“经过”の後ろにくる条件の中の“过程”て“活动”と内容かぶることもあるし、後ろに続く句の内容の条件に「結果」がかぶっているじゃん

そうです、これが“通过”と“经过”両方使えるパターンもあるよ、という理由となってくるのです。

「对外汉语教学语法释疑201例」の両方使えるパターンの解説によると、

この時の条件としては二つあり、

1.“通过”の後ろ“活动”の内容が「手段、方式かつ過程」の場合で、
かつ
2.後部の句が結果を表していること

その場合“通过”と“经过”両方使うことが出来る。

公式を見返せばそのまんまですね。理系の人なら「なるほど結局条件がかぶっていればいいってことね」と納得いくでしょう。

通過経過2

例文(5)では、“谈话”という手段、過程を通して、「我々はお互いの理解を深めた」という結果を導いています。

通経条件_01

 

例文(6)では、“大家的帮助”という手段、過程を通して、「彼の中国語は上達」という結果を導いています。

通経条件_02

二つとも“通过”と“经过”両方使えるパターンの条件を満たしていますね。

練習問題

さて、それでは練習問題です。以下の空欄には“通过”と“经过”もしくは両方が入ります。

①她们只能______写信联系。

______学习,我们掌握了很多知识 。

______老师的反复讲解,我终于弄明白了这个问题。

④她______其他同学终于找到了他。

______一年的努力,他们的企业有了显著的发展。

______这些手续后就可以出境了。

______仔细调查,我们终于发现了事情的真相。

______显微镜我们可以看到肉眼看不到的微生物。

答えと解説

①通过 ②通过/经过 ③通过/经过 ④通过 ⑤通过/经过 ⑥通过 ⑦ 通过/经过 ⑧通过

①は手段→目的 ②は手段と過程→結果 ③は手段と過程→結果 ④は人→結果 ⑤は手段と過程→結果 ⑥は手段→目的 手续后と~了があるのでこれは結構間違いやすいかもしれません。ただ後ろの句に可以があるのでこれは結果ではなく目的となります。この文の~了は未来に発生する変化についての意味合いや、「~だよ」といった口語の強調の意味合いです。 ⑦は手段と過程→結果 ⑧は物→目的

あとがき

いかがでしたでしょうか?公式を見て、解説を読み終わった直後は、

 
COACH
これなら楽勝じゃん!

なんて思った方も多いと思われますが、さりとて語学、そんなに甘くはないな、と練習問題をやってみて実感された方も多いことでしょう。今回の内容で言うと、中国語の文法においての結果や変化の違いをどう判別するか、なども多くの文章に触れ、慣れることで素早く判断することが出来るようになります。もちろん繰り返しになりますがどちらにも当てはまることもあります。結局のところ公式だけ覚えているだけ、つまり道具を手に入れただけでは使いこなせるようにはなりません。道具の使い方を練習し、それから実践に移る、つまり語学に必要な時間のかかる「多聴」「多読」を経てなるべく多くの例に触れてみて下さい。これ無しでは公式は役には経ちませんよね。

注釈

※1 個人的に中国語を学ぶときにあまり他の言語の概念を用いて理解しようとするのはあまり好きではなかったのですが、今回“经过”の後ろに来る語句の条件として理解するのにafterがとてもしっくりきました。だから「对外汉语教学语法释疑201例」の著者も(after)と記述したのかもしれませんね。

中国語を英語といっしょに学ぶのを推奨するような参考書に対しては今まで否定的な目で見ておりましたがその考えも多少改めた方がいいのかな、なんて思いました。


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