厄介な中国語”除非~否则”
“除非P否则Q”、“除非P才Q”などの条件関係を表す文のやっかいなところは、日本語に訳すときに同じ意味を表す文が複数できてしまうところです。また不,别など否定語が入ってくるとさらに理解が厄介になって頭がこんがらがってしまうことがしばしば起こってしまいます。
※因みに条件文などでよくP、Qなどのローマ字が使われていますが、このPはProposition(命題)の頭文字Pを取っており、Qは単にPの次のアルファベットというのが使われている理由のようです。
本の解説の中には
「“除非P才Q”は「PしてこそQできる」、“除非P否则Q”は「PはともかくQ」「Pは別としてQ」などと訳す」。「“除非P才Q”の「PしてこそQできる」は逆の発想で「Pしない限りQしない」と訳すと、自然な日本語になることが少なくない」
などという解説もあります。
“除非P否则Q”の例文を挙げると、
(タバコをやめることを承諾してくれたら、あなたとの結婚を考える)

かと思いきや、一番中国語の事をよくわかっている中国人運営の中国語オンライン会話教室「チャイナ道場」のYouTubeチャンネルの解説動画では“除非P否则Q”の訳し方も、「Pでない限りQしない」と教示してくれています。

“除非P否则Q”も“除非P才Q”も「Pでない限りQしない」と、同じ訳になるってどういうこと?このままではおちおち“除非P否则Q”を使った作文なんかできやしないよ・・・。
ベン図を使って論理的に理解する
条件、と言えば私たちが学生の頃数学の授業で習った条件式やベン図という学問ツールが思い浮かびますね。
これらのツールを使ってうまく理解できないものかと、日本語の解説ページをせっせと調べていたのですが、なかなか見つかりませんでした。また、私自身ちまちま紙に図を書いていたり論理的に理解しようと試みていたところでした。
しかし、先日百度で検索をかけてみたらピッタリなページが見つかったのです!本ポストの内容は主に下記のリンクの記事をもとに作成いたしました。
「除非 否则の論理的関係」といった感じのタイトルでしょうか。
中国人の解説なので当然中国語で書かれています。初歩的な中国語が理解できる方は上記のリンク先のページをご自身で読んで理解するので十分でしょう。
条件関係を表す中国語は数種類ありますが、今回はまず“除非P否则Q”をしっかり理解するという目的で“除非P否则Q”を中心に解説し、“只有P才Q”、“除非P才Q”に関しては参考として簡単に触れる程度にとどめておきたいと思います。今後この投稿をリライトして条件関係の文のコンテンツを充実させていく予定です。
まずは比較的理解しやすい“只有P才Q”
“只有P才Q”をベン図で解析

“只有P才Q”は「PしてこそQ」「PしてはじめてQ」
などと訳されます。
Pが起こらなければ、Qは起こらない
Pが起こるとき、Qは起こるかもしれないし、起こらないかもしれない
PはQが起こるための必要条件となる。
簡単に言うと、Pの条件が満たされていない限り、Qは起こらないということです。(Pの範囲内にQがある)
例を挙げていきましょう。
(「P:晴れて」こそサッカーの試合はいつも通り「Q:開催」される)→(晴れない限りはサッカーの試合は開催されない)
Pの領域内で、かつQも満たしている、ということになりますね。
・いくらグランドコンディションが良くても、雨や曇りは開催されない
・晴れたとしても開催されない可能性はあるが、すくなくとも晴れなければ開催はありえない
といった割とハードル高めなニュアンスです。(※参考 “只有晴天,足球比赛就会照常进行。”の“只有P就Q”はハードルが低い表現となります。前日大雨でグランドがドロッ、ドロでも晴天ならもう開催決定!、みたいなニュアンス)
“只有P才Q”の例文
青少年は、一生懸命勉強してこそ、将来大きな成果を上げることができる。
木や草をたくさん植えてこそ、土壌の侵食を防ぐことができる。
本題の“除非P否则Q”
“除非P否则Q”をベン図で解析

Pが起こるとき、Qは起こるかもしれないし、起こらないかもしれない
Pが起こらなければ、Qは起こる
これは以下のように言い換えることもできる
Pが起こると、「Qが起こらないこと」がありえるし、ない可能性もある
Pが起こらないと、「Qが起こらないこと」という事象は発生しない
また、このようにも言える
Pが起こることによってはじめて、「Qが起こらないこと」という事象が発生する
参照元の条件文を書きだしているのでベン図があまり身近ではない人にはなんだかわかりにくいですね汗
“除非P否则Q”の実例で理解しよう
実例①

雨が降らなければサッカーの試合はいつも通り行う

雨が降る時(P:下雨)、試合は行われるかもしれないし(Q:足球赛照常进行)、行われないかもしれない(非Q)。

雨が降らなければ(非P:非不下雨)、試合は行われる(Q:足球赛照常进行)。
実例②
これは不が二つ入っているのでややこしくなります。

雨が降らないということが起こることによって、試合が開催されないということが起こらない可能性がある。→雨以外の天気(晴れ、曇、etc.)で、サッカーの試合は開催できる。→雨が降らなければ、サッカーの試合は開催する。
※論理的に考えるためにあえてわかりにくい文章にしています。
??狐につままれた状態になっていることでしょう。訳すと例文①と同じ事を表すんですよね(ニュアンスは別として)。

雨が降らない時(P:不下雨)、試合は行われないかもしれないし(Q:足球赛不会照常进行)、行われるもしれない(非Q)。

雨が降るのであれば(非P:非不下雨)、試合は行われない(Q:足球赛不会照常进行)。
“除非P否则Q”の例文
定義を思い浮かべながら自分の理解と合致しているか再確認してみてください。また論理的整合性を確認しながら「こういった訳し方もできるよな」と試みるのも理解を深めるいいトレーニングとなります。
ダイヤの指輪を買ってくれないと 結婚しないよ
謝罪と賠償をしない限り、被害者の許しを得るのは難しい。
人は自分に自信がなければ、他人に自信を与えることはできない。
参考 “除非P才Q”との比較
“除非P才Q”はここでは簡単に触れるにとどめますが、意味合い的には「必ずPしなければ、Qは起こりえない」という「~するしかない」といった必要条件を表します。
一番最初に提示しました“除非~否则”の例文
(タバコをやめることを承諾してくれたら、あなたとの結婚を考える)
これを“除非P才Q”で書くと、
禁煙を約束してくれないと、結婚を考えない。
※ニュアンスは若干違います
雑用を手伝ってくれないと、一緒に街へ行かないよ。
真面目に勉強に取り組まない限り、良い成績はとれない。
一生懸命勉強するしない限り、希望する大学に入れない。
毎日ウキウキした気持ちでないと、夢に向かって頑張る意欲が湧かない。
授業をしっかり聞かない限り、、先生から出された宿題をきちんと終わらられない。
まとめ
いかがでしたでしょうか。正直実際に中国語を使って会話するときなどに、いちいち論理的に考えて言葉を選んでいる暇はないので、覚えておくパターンは自分が確信を持って意味を把握できているものに限られてくると思います。
しかし、文章を書くとき、特に不,没,别などが加わったりした文章だったり、また基本に立ち返って条件文の意味を確認する時、ベン図でじっくり考えると間違いはなくなります。