HSK6級书写について
HSK6級の試験項目の中で最も事前の対策、予行演習が必要な书写(作文)問題。
HSK6級の书写(作文)問題は与えられた文章(1000文字前後)を10分で読み(メモは禁止)、自分の考えには触れずに35分以内に題名をつけて400字程度で要約するというもの。
HSK6級をこれから初めて受けるという人にとって、400字あまりもの長い文章を書いた経験がある人はほとんどいないはずです。想像もできないくらいの難関に思われるでしょう。
しかし、この书写は「作文」と訳されるものの、実は自分で文章を作るというわけではないのです。
単なる「短時間文章記憶力」を試されている試験なのです。
ここで要求される記憶力とは細部は忘れてもよく、話の大筋を覚えればいいレベル。
満点を取るのは難しいけれども、実は短期間のトレーニングで、思ったより早く解答のコツを習得でき、400字前後の文は十分書けるようになります。この点はかなりの勉強時間が必要とされる听力(リスニング)と異なります。
具体的に言うと、作文力はHSK5級までの実力で充分なのです。読むのに必要なのがHSK6級の語彙力(見て意味が分かればいいだけのレベル)、書くのに必要なのはHSK5級の語彙力、ってわけです。
トレーニングを重ねれば実は誰でもそこそこの点数の7~8割は取れる項目なのです。
初めての過去問
私個人のHSK6級书写(作文)に取り組んだ経験談を紹介いたします。
最初に過去問を解いた時は、「絶望」、この言葉でしか形容のしようがない有様でした。三行ほど書いてから鉛筆が止まりました。。
どう頑張って続きを書こうとしても全く何を書けばいいかわからず回答時間5,6分ほどで終了。。
まともな回答が書けるまでいったいどれくらいの時間が必要なのだろう、半年?一年?‥‥途方にくれました。
しかし2回目になると問題用紙の4割くらいは埋められるようになっていました。
というのは、最初に述べましたように、見方を変えて、「ああ、この书写という問題は作文ではなく記憶力を試す試験問題なんだな」と捉え、2回目は、読むときにとにかく段落ごとの重要な点だけを把握しながら読み、解答時に思い出せるだけ思い出して無茶苦茶でもいいからとにかくつなげて、文字数を増やすことに挑戦してみよう、そう考えて鉛筆を走らせました。
すると、3回目は解答用紙の半分くらいは書けていました。現在の自分の水準からすると半分くらいでは全然ダメな解答ですが、1回目の支離滅裂な3行の回答から比べたら飛躍的な進歩でした。
この小さな成功体験を繰り返すことで半分から、6割、そして7割以上とマスが埋められていくようになるのです。同じような感覚をこれから书写の過去問にトライする人も経験するでしょう。
解答用紙の特徴を把握する
余白の黒、朱色ラインで文字数の目安を掴む
トレーニングを始める前に、肝心な「解答用紙」について整理しておきましょう。
书写の解答用紙は上の画像のように、表面のマークシート解答部分の下に回答欄3行分から始まり、裏に文章を続けて書く形式です。
裏面の回答欄の左右余白にある黒と朱色のラインはおそらく採点者が大体の文字数を把握するためのものでしょう。我々解答者も文字数を把握するために利用しない手はないです。
目標の400文字は裏面下5行より上のラインとなります。そして、340文字ラインがちょうど余白の黒の縦ラインの上部とぴったりなのはどことなく怪しい気がしませんか?
採点基準が公開されてないのであくまでも想像ですが、340文字ラインを超えないと減点とかあるのかもしれませんね。
HSK6級公式問題集に掲載されている解答用紙は実際の試験の物と違うので注意
以下の画像はHSK6級公式問題集に掲載されている解答用紙です。
なんか実際の解答用紙と違いませんか?そうです、表面が5行あって合計マス数も520個なんです。
勘弁してくれよな―、です。公式過去問題集のみで対策をしていた人からすると、なんか勝手が違うなと感じてしまうこともあるかもしれません。
減点されないための中国語作文原稿用紙の基本ルール
予備知識に関する内容が続きますが、これも重要な中国語作文の原稿用紙の「書き方」の決まり、について。
題名(タイトル)の位置と段落の始めの書き出し
①タイトルの位置は1行目に4マス空けるか、または下の画像のように1行目の中央に入れる決まりがあります。
②段落の書き出しは2マス空ける。これは日本語の1マスと異なります。試験の時、文章の内容を思い出すことに気を取られ、うっかり日本語の習慣で1マス空けて書いてしまい、後で見直しのときにやらかしちまった、なんてこともあります。私は一番最近の試験の時やらかしました。慣れって怖いですね。慢心に注意。
文章記号を書くときのルール
日本語の「」にあたる””なども日本語と書き方のルールが異なるパターンがあるので注意。
●文章記号の,。、?!;:と括弧の閉じる側の”》)は行頭に来てはならない。最後のマスに文字と一緒に書く。
●括弧の文章記号の始め側“《(は行末に来てはならない。最後のマスに文字と一緒に書く。
中国語の主な文章記号について整理
文章記号やアルファベットは基本的に1マス分使う。
文章記号については、「,、?()“”‘’。《》」だけ使えればいいと割り切ったほうが良いです。変に変わった記号を使おうとして、誤った使い方で減点されるのももったいないですから。
記号 | 名称 | 使い方 |
---|---|---|
。 | 句号 jùhào | 日本語の句点「。」と同様。文の末尾につける。 |
, | 逗号 dòuhào | 日本語の読点「、」にあたる。文中にポーズを付ける時と複文で短文ごとに分ける時に使う |
、 | 顿号 dùnhào | 文の中で並列する語句を列挙する時に使う。3つ以上並列する場合は“A、B、C和D”のように最後の並列に“和”を入れるので注意。また、日本語の読点「、」と形状が同じなので、逗号の“,”と顿号の“、”で混同して誤用してしまい減点されないように注意。 |
? | 问号 wènhào | 疑問文、反語文の文末に付ける。 |
“” ‘’ | 引号 ǐnhào | 日本語の「」にあたる。セリフ、引用した語句や文、特殊な語句の前後で括る。“”の中にさらに重ねる場合は‘’を使う。 |
《》 | 书名号 shūmínghào | 書籍、新聞などの刊行物、曲名、ドラマや映画の題名などに使う。 |
その他の文章記号
以下の表で紹介する文章記号は参考程度に一読するだけでよいです。
記号 | 名称 | 使い方 |
---|---|---|
! | 叹号 tànhào | 感嘆文、命令文、反語文の末尾につける。 |
; | 分号 fēnhào | 複文で並列する文を列挙する時に入れる。 |
: | 冒号 màohào | 呼びかけのセリフの後や“…说”の後につける。 |
・ | 间隔号 jiàngéhào | 外国人の名と姓の間、書名と編名の間、月と日の間(三・八妇女节)、王朝名と人名の間に使われる。 |
() | 括号 kuòhào | 日本語の()と同じ。 |
…… | 省略号 shěng lüè hào | 省略部分に使う。 |
— | 连接号 liánjiēhào | 日本語の「~」または「‐(ハイフン)」にあたる。 |
—— | 破折号 pòzhéhào | 日本語の「´(ダッシュ)」にあたる。 |
数字を書くときのルール
漢数字の場合は基本的に1文字1マスです。しかしアラビア数字(1,2,3…10,11…)は桁数、少数等で書き方が日本語と違うので注意。
●2桁以上の数字は、1マスに2文字書く。(③、④)
●曜日を表す“星期~”,“周~”の数字は漢数字で書く。
~世紀、西暦年(上の例で言うと2023年)、~月、~日はアラビア数字で書く。
●%は1文字分とる。
●小数点は1/2文字+「.」。
●桁数が奇数の場合は最後の枠には一つの文字を入れる。最後の文字のサイズは1/2にして前の数字とそろえる。
まずは過去問の书写を2回分解いてみて、実力を測る
まずは過去問の準備
さて、これから书写の勉強を始めるという方、まずは全く書けなくてもいいのでネットで公開されている過去問PDFをダウンロードして一度书写の部分だけトライしてみて下さい。
公式過去問題集でもいいのですが、初めて挑戦する方はほとんど書けなくて終わると思うので、模範解答があろうがなかろうが、あまり参考にならないでしょう。後々実力がついてきたときの為に公式問題集はとりあえずあとにとっておきましょう。
どうしても模範解答があった方がいいという方は1回分くらいは解いてみてもいいでしょう。
そんなわけで、ネットで公開されている過去問PDFには模範解答はありませんが、この段階では书写が実際にやってみるとどのくらい難しいのかを実感すること、現時点で自分がどれくらい文字を絞り出して書けるかどうか把握する事が重要です。
過去問は以下のリンク汉语考试服务网から一回分ダウンロードできます。
また、以下の爱博汉语(Easy step to Chinese!)という中国語学習サイトの学習素材ダウンロードコーナーのGoogleDriveでもHSKの過去問をシェアしてくれています。HSK 考试真题のフォルダ内にファイルがあります。
https://www.aibochinese.com/download-books Easy step to Chinese! – Download Books
サイトのアカウント登録が必要ですが、私が以前紹介した中国語学習コミュニティサイトCchattyでも数回分の過去問がダウンロードできます。
我的汉语课程平台というサイトのHSK Materials 汉语水平考试资料というページにも古い過去問や书写の問題が共有されています。
※サイトによってはPDFに解答用紙のページが付属していないこともありますが、汉语考试服务网の過去問PDFには終盤のページに解答用紙ページがありますので、そちらのページを多めにプリントアウトするなどして使ってください。
1回目をとにかく体験する
何の準備もなくぶっつけでいいのでまず挑戦してみましょう。
もし数回分のPDFをダウンロードしたのなら、事前に問題文の最初の1,2行だけちらっと見ていいので、理解しやすそうな内容を選んだ方がいいです。
中国の歴史にあまり詳しくないのに、歴史上の人物について書かれた内容だと作文力を測る以前に、文章の内容が頭に入ってこないので、避けましょう。(まぁいずれは苦手な内容にも取り組まなければならないのですが・・・。)
10分間黙読(メモ禁止)、35分間で解答。実際の試験では問題用紙回収時間の間、何も手を触れられず待っていなければいけないので2分間くらい間を置くのがベターですが、1回目の挑戦はすぐに解答に取り掛かっても問題なしです。
解答時間は35分間ありますが、二行くらいで鉛筆が止まってしまってどうしようもなくなったら、解答をやめても構いません。
书写が自分にとってどれくらいの難易度なのか、10分間で1000文字前後の文章をどのくらいのスピードで読まなくてはならないのかなどを知り、とにかく現時点での自分の実力を把握してください。
最初は2度読みするのはまず無理でしょう。初めてなので当たり前です。
おそらく多くの人が私と同じくほとんど書けなくて、絶望を味わうと思います。でも諦めるのはまだ早いのでご安心を。
初回はざっくりと時間間隔をつかめればいいです。
ただし、10分間で最後まで読み切れないのであれば明らかに語彙力不足と、まだまだ中国語の長文を読んだ回数が足りていません。书写の対策の前に听写(ディクテーション)などをしながら語彙力を増やし、テキストを多く読むことにまずは時間をかけましょう。
または、400字~500字くらいの短い文章を要約する練習をしましょう。
以下の参考書には400~500字くらいの中国語文章が多く含まれているので、短い文章の要約トレーニングに使えます。
2回目は解答用紙の3割くらいは埋めよう
そして2回目も期間を開けずにトライしてみてください。別の問題文が好ましいですが、1回分だけしかお手元に無いのなら1回目と同じ問題文でも構いません。
1回目の経験を参考に、2度読みは無理でも今度は各段落の要点だけはしっかり覚えて解答に臨もうと意識してみてください。もしくはこの段落のこのフレーズだけは忘れんぞ、と意識するのでも構いません。解答用紙の3割くらいのスペースを埋めるつもりで。
1回目と比べて3、4行以上多く書けたなら、书写の為の短期記憶のコツを掴めている証拠です。その調子で続ければ自然と文が長く書けます。
この時前半は何となく覚えている、とか後半は何となく覚えている、そんな状態だと思いますが、おぼろげな部分に関しては箇条書きで解答用紙の下の方に覚えていることを書いていってください。これは脳から短期記憶を絞り出す訓練になります。
で、要約(缩写)ってどうやればいいの?
ここまではなにやら根性論に近いような事を述べてきましたが、肝心な中国語の要約のやり方について。
2回の過去問によって得た「気づき」を活かしましょう。
「ああ、ここを記憶しなきゃいけないんだろうな」とか、「固有名詞はやっかいだな」とか。そして中国語の要約はそもそもどうやればいいのだろう、という対策のポイントが見えてきたことでしょう。
文章を要約する時に抽出する要素
結局のところは日本語の文章を要約するのと大差はないのですが、HSK6級书写独自の点を述べるとすればかなーりばっさばさ細部の記述をカットして要点だけ抽出する感じです。
シンプルに
- 誰が
- いつ
- どこで
- 何をした
これらを段落ごとに大筋で抽出します。
そこから
- なぜ
- どのように
の要素を加え、文章をつないで書いてくという作業と、とらえて下さい。
上記の内容は5W1hとか、参考書に掲載されている文の6つの要素「時間」「場所」「人物」「起因」「経過」「結末」、のように仰々しく紹介されている内容と全く同じことを言っています。
過去問題集の模範解答から見えてくる大まかな構成
過去問の模範解答は大体が4、5段落で構成されています。
過去問の模範解答の文はやはり中国語ネイティブが書いているのでしょうけど、やはり一文が長い。”,“で区切っているとはいえ、その長い一文の中に修飾語句を絡め、しっかり書くべき内容が網羅されています。
実際には我々受験者がそんなに洗練された長い1文を書くのは無理があるので、短い文で区切ってつなげるのが現実的でしょう。
格好よく長い1文を書こうとすると、修正に修正を重ねる「消しゴム地獄」に陥ります。
解答の大体の構成が、
①「主体となる物、主人公の経歴」or「事柄の発生」
↓
②「展開」
↓
③「結末」
各文の長さの目安としては1行半(=30文字)くらい。それで400文字ラインを埋めるとすると、約13文となります。
実際には段落の始めや終わりに空のマスがあったり、短い文も含まれて文の数は上下します。
一行のイメージは、例えば、下記の文だと、
一颗颗树木被我甩在身后,一节节阶梯被我踏在脚下。
マーカーのひかれた部分が20文字です。これで原稿用紙の1行が埋まるイメージです。思ったより短いでしょう。2行分くらいの長さの文は、意外と解答中に書けてしまいます。
まずは一文単位の要約
最初は基本レベルの一文単位の要約について。基本的に「だれ」が「どうした」の構造になります。
そのうえで、文章を簡略化するいくつかのコツを紹介いたします。
的を使った修飾部分は削ってOK。
美丽的蝴蝶飞走了。 → 蝴蝶飞走了。
我在屋里没有找到那个装书的包。 → 我没有找到包。
もちろん削ってしまうと意味が変わってしまうような部分は残します。
我班同学陈玉梅的妈妈原来就是我的邻居王叔叔的妹妹。 → 陈玉梅的妈妈是王叔叔的妹妹。
“妈妈是妹妹”ではさすがにおかしいですから
修飾の「~地…」の「~地」の部分は削ってOK。
他非常详尽地向大家讲述了事情的详细经过。 → 他讲述了经过。
この文では向大家も削っています。実際の解答で、前後の文章から明らかにみんなに対して話したというシチュエーションがわかっている場合には削ってOK。もし誰に対して話したのかが重要ならもちろん残します。
她在办公司里热情地跟大家交谈。 → 她跟大家交谈。
人们都忍不住惊讶地呼喊起来。 → 人们呼喊起来。
「~得…」の後ろの捕捉部分「…」の部分は削ってOK。
杰克着急得没办法。 → 杰克着急。
数量詞は削ってOK。
桌子上放着两本书和一支笔。 → 桌子上放着书和笔。
罗丹塑了一座女像。 → 罗丹塑了女像。
昨天晚上下的这场大雨真是一场及时雨。 → 昨天晚上下的这场大雨真是及时雨。
定语(限定語.連体修飾語.形容詞的修飾語)は削除してOK。
从四面八方来看病的人很多。 → 来看病的人多。
状语,补语(補語)は削除してOK。。
他忍不住哭了起来。 → 他哭了。
このコツで言いたいことは、10分間の黙読中に、文章の要点と関連が薄い細部の描写までいちいち記憶する必要はないという事です。
また、上記のコツは最も簡略化して要約した例ですが、文の構成上、修飾する語句が無いと話の筋が通らなかったりする場合は当然残すこともあります。
例えば
铁球同时从高处落下来。→铁球落下来。
鉄球がどこから、どんなふうに落ちたかが重要でない場合は上記のように要約しますし、重要であるならば一切改変しません。
もうひとつ、直接話法を間接話法に書き換えるのも覚えておいてください。
他说:“我姐姐下周结婚,我要回去参加他的婚礼。”
↓
他说他姐姐下周结婚,他要回去参加姐姐的婚礼。
李伟对张亮说:“你的电脑太好了,以后我也买一台。”
↓
李伟对张亮说,张亮的电脑太好了,以后他也买一台。
どうしても書き換えが難しかったら仕方ないですが、直接話法のままで書くしかないです。
段落要約~情景が浮かんでも、すべてを書けばいいってもんじゃない難しさ
次は段落ごとの要約。段落の要約はすなわち书写の問題の要約の最終段階。
小説を書く作家のような読み手を引き込ませるような文を作ったりする必要もなく、淡々と「誰が」「いつ」「どこで」「こういう理由で」「どのように」「何をした」をつないでいくだけです。
そこで難しいのはどの人物のどの動作が主体なのか、を見極めること。
これは一つの段落の内容のみからは判断できないこともあります。文全体の中で、どの人物が主体(主人公)なのかを判断し、要点とは関連性があまりない登場人物、事柄はバッサリとカットすることも必要となってきます。
少し長い文の要約例
例①
右側の▼をクリックして要約を確認してください。
我有一本小说,让小李借走了,小李看完又把书借给了小刘,小王看见了,又拿去看,后来也不知道书到哪里去了。
我的小说借丢了。
極端に感じるかもしれませんが、話の内容によってはこれくらいバッサリと要約します。
話の前半部分で幼少期に”小王“という友達がいて、本を貸したら無くしてしまったというエピソードが書いてあった場合、後半の幹となる内容に、小王という人物がまったく重要でない場合このくらい要約してしまいます。
もしくは“我的小说被小王借走了/我的小说被朋友借走了”くらいは書いてもいいでしょう。
例②
我先去了北方图书城买书,没有;又去了新华书店,也没有;后来我又去了外文书店,还是没买到;最后在教材书店才买到这本书。
我跑了很多家书店才买到这本书。
例①同様HSK6級书写の要約ではこれくらいバッサリと要約します。
段落の要約例
以下の文章は元の文章の4割くらいの部分を引用し参考に挙げました。
东郭先生牵着毛驴在路上走。毛驴驮着个口袋,口袋里装着书。
忽然,从后面跑来一只狼,慌慌张张地对他说:“先生,救救我吧!猎人快追上我了,让我在你的口袋里躲一躲吧。躲过了这场灾难,我永远忘不了你的恩情。”东郭先生犹豫了一下,看看狼那可怜的样子,心肠就软了,答应了狼的要求。他倒出口袋里的书,把狼往口袋里装。可是口袋毕竟不大,狼的身子很长,装来装去,怎么也装不下。猎人越来越近了,已经听到马蹄声了。狼很着急,它说:“先生,求求你快点儿!猎人一到,我就完了。”说着就躺在地上,并扰四条腿,把身子蜷成一团,头贴着尾巴,叫东郭先生用绳子把他捆住。东郭先生把狼捆好,塞进口袋,又装上了书,扎紧了袋口。他把口袋放到驴背上,继续往前走。
猎人追上来找不着狼,就问东郭先生:“你看见一只狼没有?它往哪里跑了?“东郭先生犹豫了一下,说:“我没看见狼。这儿岔道多,它也许从岔道上逃走了。”
猎人走了,越走越远,听不到马蹄声了…..
新HSK応試全解析HSK6级より※
要約は以下のようになります。
东郭先生和狼
东郭先生牽着毛驴在路上走,毛驴驮着个口袋,里边装着书。这时,忽然跑来一只狼,让东郭先生救它。东郭先生看狼可怜,就答应了。他把狼装进口袋里,放到驴背上,继续往前走。猎人来了,问东郭先生看见狼没有,东郭先生说没有。
新HSK応試全解析HSK6级より※
まず、よくあるパターンですが、問題文の書き出しの1行目はほぼまるまる解答文でも使用していることが多いです。
そして直接話法を間接話法に換えて起こったことを客観的にまとめています。
その後の文でも細かい描写、「东郭は躊躇した」「袋から本を取り出して、」「袋は大きくないのだけれども、」「狼の身体は大きく、なかなか袋に入らなかった」といった部分も要約では記述されていません。
※参考文献新HSK応試全解析HSK6级
段落と段落をどうつなぐ?
ここまでは1文、段落単位の要約のコツ、例を挙げてきました。
しかし、実際に要約を書くにあたってネックとなるのがどうやって各段落の書き出しを書けばいいのか、どうやって文と文をつなげばいいのかでしょう。
慣れていないと鉛筆が止まってしまいます。逆に書き出しの言葉がスムーズに書ければ、後は記憶している内容を書き連ねるだけなので、マスが埋まっていきます。
時間を使った書き出し語
時間を使って書き出し始めるというのが书写の回答の七、八割を占めます。というのは問題文として採用される題材のほとんどが、過去の出来事の経緯や文化、習慣の成り立ち、偉人の経歴を時系列に沿って書かれているものだからです。
一天~ (過去の)ある日,いつか
五年前的一天~ 5年前のある日
去年有一天 去年のある日
一天中午~ ある日の昼
一个多小时之后~ 一時間少し後に
一年后~ 1年後
后来~ のちに.その後.後になって.それから
后来有一天~ そしてある日、
那天下班后~ その日退勤後
那天中午~ その日の正午
两个月后~ 2か月後
过了两个月后~ 2か月が過ぎて
过了几天/过了几年/过了几个月~ 数日/数年/数か月後が経ち、~
这几年~ ここ数年
有一次~ あるとき.ある日 “一次,” 一回.一度.ひとたび
~过后的第……天 ~の後の…日後に、例:面试过后的第四天
很快~ すぐに
她~时 彼女が~歳の/~した時
她结婚时~ 彼女が結婚する時
他40岁时~ 彼が40歳の時
1809年,查尔斯~ 1809年、チャールズは
“~之后,”、“~以后,” その後~してから~.~した後に
当初~ 当初 当时~ 当時 当年 その年 有一天 ある日、
直到~ ~になるまで.ずっと…まで至る.~まで至る.
直到有一天~ その日、そのある日になるまで
直到日出 日の出まで
直到最后 最後の最後まで
直到~之后… ~してから…後まで
不久~ 間もなく、
最后~ 最後に 最终 最終的に
一段时间之后~ 一定期間経過すると
起初~ 最初.はじめ
(~ 。)这时 … (誰誰が~した。)この時…だった
その他の書き出し、文をつなぐ言葉
就这样,~ そのようにして、このようにして、
其实,~ 実は、実際のところ、実際は
有一位~ とある~ という人物がいて、
その他基本の接続詞
接続詞については文法書などで確認しておきましょう。
あまり難しい接続詞は無理して使う必要はありません。
逆説の接続詞 不过、但是、可是、や、接続詞の基本の組み合わせ“虽然、但是”、“因为、所以”などの使用が中心になるでしょう。
以上の部分で挙げた例に限らず、普段から長文の中国語を読んでいて、「ああ、こういう書き出し方があるのか」と気づいたら、書き出し例のメモをストックしておくと良いです。
問題文の黙読時間の使い方と、解答開始時のコツ
10分間の黙読時間の使い方
読み方の理想として以下の点に注意して合計3回、目を通すことが基本となります。
1回目:速読。文章全体の大まかな内容を把握
↓
2回目:各段落の6大要素(誰が、いつ、~をした…)を抽出、キーとなるフレーズのチェック
↓
3回目:主要な人名、場所などの固有名詞、年などの数字、キーワードを暗記
1回目はピンインがわからない言葉などに躓くことなく、頭の中で音読はせずに、とにかくスピード命で話の流れを掴みましょう。
2回目は「段落の要約例」でやったように、余計な修飾部分をカットしながら各段落の幹となる「時間」「場所」「人物」「起因」「経過」「結末」だけを頭に入れていきます。
3回目、おそらく残り時間は1分半以下という状況ですが、この時間も全力で人名、場所などの固有名詞、西暦年、年号などを頭に入れていきます。
特に固有名詞は今まで見たことのない漢字が出てくるので、必死になって人差し指を使ってエアー手書きをして、漢字を頭に叩き込みます。
また、「段落の要約」のところでも触れたように、多くの問題で、1段落目の書き出しの大部分が解答の書き出しでまるまる使えることが多いので、1段落目の書き出しも必死に暗記します。
例としては、「~は1980年に…で生まれた」、「1995年に~」みたいにほぼ原文の書き出しをまるまる使っていいので、イージーな作文です。
解答の書き出しが躊躇なく開始できると、時間のロスがなくなります。
多くのHSK6級対策に書かれている3度読みの順序は1回目に6大要素を抽出する、とありますが、長文を読む速度があまり早くないレベルであれば結果的に2度読みしかできないので、その順序も検討することになります。
過去問を解く際にどちらが自分に合っているか試して選択しましょう。
解答開始まで
黙読時間の終了のアナウンスがされると、問題用紙回収時間となります。この時間は解答は開始できないので注意してください。勘違いして解答用紙にフライングで記入し始めて注意される、初めて受験すると思しき人が必ずといっていいほどいます。
解答用紙回収時間3分~5分を使ってこの間もしっかりと問題文から抽出した内容を繰り返し確認し頭に入れ、エアー手書きも引き続き行います。
そして、いざ解答開始となったらすぐに解答用紙を裏面にします。
裏面の下の部分に、先ほどエアー手書きで暗記した複雑な人名、年などを薄い字でいいので走り書きしてメモしていきます。
このようにメモを書いておいて、解答用紙を仕上げる時に消せばよいのです。
途中途中でこのメモを参照しながら解答を書いていけば、年号や人名などを気にせず、余計な脳のメモリーを使わず文章を書くことに集中できます。
ちなみに、余白に文字を書くことは禁止されているので、薄くメモを書いて消しゴムで消せるとはいえ、少しでも形跡が残って不利に働くこともありうるので、余白には何も書かないようにしましょう。
後は今までの対策をフルに活かして、脳もフル回転させ解答を書きあげましょう!
书写対策の参考書
HSK対策シリーズとしてはおなじみ「新HSK6級トレーニングブック」。
原稿用紙の書き方のルールはこちらの本がとても役に立ち、参考にさせてもらいました。
また、短めの文章の例題と、6大要素の抽出、要約例も非常に参考になります。
中国語で書かれているテキストの、「新HSK応試全解析(六級)」。
缩写の方法と豊富な缩写の例題があります。
书写対策のパートには問題文例中に注釈が付されて、どこが6大要素なのかがわかりやすく提示されています。
ちょっと値段が高いのがネックですが、値段に見合った内容です。
1冊まるまるHSK6級の书写対策の内容の「21天征服新HSK6級写作」です。中国語で書かれているテキストです。
2週間(21日間)で书写をマスターするというコンセプトの参考書。個人的には第3週目以降の部分だけやればいいかなと思います。
たくさん練習問題を解きたい人向けです。
注意点は試験では原稿用紙の1行目にタイトルを書くのに対し、この本の解答例では2行目に書いています。
使用している原稿用紙も空白の1行目の20文字を差し引いても540字分のマスが用意されていて実際の解答用紙と若干異なります。
上記で紹介した、「21天征服新HSK6級写作」の日本語版「HSK6級作文問題 最短制覇」です。
日本語で解説されている方が良いという方はこちらを。
注意点は、見本に使用されている原稿用紙の横のマス数が21マスとなっている点。
過去に出題された文例
2022年に受けたHSK6級試験で、帰宅してからその問題文に出ていた人名を調べていたら、問題文と全く同じ以下の文が見つかりました。
見出しは既につけられているので、見出しを考える練習にはなりませんが、文中で最も重要な考え方を表すフレーズが見出しに使われていることがわかります。
力試しに例題として活用してみて下さい。
もうひとつ、実際の問題文とは違いますが、下記のリンクで紹介されている“独竹漂”という、水面に浮かべた竹の上で中国の伝統衣装を着て踊る、という題材も出題されたことがあります。
こんなタイプの芸術芸能分野の人物が題材になっている文章も読んでおき、1000文字くらいの叙述文が見つかったら練習用題材として活用するのもよいでしょう。
普段から中国語を使って作文する習慣をつけよう
言わずもがなですが、书写対策に限らず普段から中国語を使って文を書いていないと、試験直前の対策だけではなかなかすんなりと文を書きだせないものです。
とはいえ、中国語教室やオンライン中国語のレッスンを受けていない限り、自分の書いた文章を添削してもらうにはどうしたらいいか悩むところでしょう。
相互添削型SNSを利用
下記の記事で紹介したLang-8では中国語ネイティブユーザーとフレンドになり、うまく関係性を築ければ添削をこまめにしてもらえます。
もう一つはスマートフォンアプリ、Hellotalkの活用です。スマートフォンアプリでしか利用できないので長文の投稿にはあまり向いていませんが、結構積極的に添削してくれるユーザーが多い印象です。
その反面、スパムや単なる冷やかし目的のユーザーも多いです。また、以前はHellotalkを通じて詐欺を働くユーザーも沢山いました。今はだいぶ対策が進んでいるようですが、引き続き怪しいユーザーには注意しなければなりません。
手書きの落とし穴
私の経験談ですが、あり得ないようなレベルの簡単な漢字が書けないことも起こり得ます。
問題文に“鞋子”が出てきて、解答時にど忘れして書けないことがありました。
解答用紙に向き合いながら、頭の中でxié ziと唱えるも「えーっと靴だったっけな、鞄に似てる字だったっけな」と焦るばかりで結局微妙な“鞋子”に似せた漢字を書いてごまかしたことがあります。
このように急にど忘れしてしまい、漢字の形状が全く出て来なくなるという事もあるのでキーボード入力ばかりでなく、听写(ディクテーション)のトレーニングなどで、字を書く習慣もつけておきましょう。
オンライン受験の場合は、拼音さえ入力できればいいので問題ありませんが、オンライン受験にも穴があります。
ピンインが全く分からない固有名詞が出てきた場合お手上げになります。オンライン受験では搜狗の手書きパッドの使用が禁止されています。
どちらの形態の受験も一長一短がありますね。