ニュアンスの違いを掴むのが難しい「好~」を使った受け答え
ウィーチャットや口頭での中国人とのやり取りでよく出てくる受け答えの「好啊」「好呀」「好吧」「好的」。
でもこれらのニュアンスの違いって意外とわかっていなくないですか?
一つ一つの「好~」の意味についてそれぞれ解説してくれているYouTube動画やブログ記事などはよく目にするのですが、これらを比較して解説してくれている内容のものが少なかったり、自分が知りたいポイントとずれていたりして長年違いを理解できずにいました。
それで結局無難に「好的」しか使わず何年間もやり過ごしているということはよくあるでしょう。私もまさにそのパターンでした。
そんなわけで長年気になっていながらも解決せずじまいだったこの違いをスッキリさせるべく、先日中国語オンライレッスンの【CCレッスン】 にて講師に質問しまくり、ある程度ニュアンスの違いを理解できましたのでその点を皆さんとシェアしたいと思います。

ここでシェアする内容はごくごくベーシックで使用頻度が高いものに絞り込みました。相手から遊びや食事の誘いがあったときの受け答えに使う「好~」についてです。
あんまりいろいろ手広く覚えようとしても要点を抑えられなくなりますからね。
まずは「幹」の部分をしっかりマスターし、その後に徐々にその他の細かいシチュエーションで使った場合のニュアンスなどを「枝葉」として各自徐々に付け足していけば良いのではないかと思います。
後半でその「枝葉」のとなる内容について解説されているYouTube動画なども引用していますので、より多くのパターンのニュアンスについてマスターしたい方は、そちらも参考にしてください。
「好啊」、「好呀」、「好吧」のニュアンスの違い
では以下のシチュエーションを例にとって比較していきましょう。
Aさんから、「週末富士山に登山に行かない?」と誘われた時にBさんが「好啊」、「好呀」、「好吧」のいずれかで返答したときのニュアンスの違いを見ていきます。
「好呀」~自分もすごく楽しみで、是非一緒に行きたい
A:周末我们去爬富士山吧。
B: 好呀!
この“好呀!”は超ポジティブで乗り気なニュアンスの返答となります。
Bさんもすご~く行きたい!楽しみにしてるっ!ってニュアンス。
中国人講師の中国語の解説では“很开心、很期待要一起去 ”のニュアンスと説明してくれました。とても楽しい、うれしい、そして一緒に行くことをとても楽しみにしている、といった感情ですね。
「好啊」~行きたいことは行きたいが、すご~く楽しみって程でもないけれどまぁ一緒に行くのもいいかも
A:周末我们去爬富士山吧。
B: 好啊!
“好啊!”ではBさんも行きたいと思っている、けどそこまで楽しみって感覚はなく、「お~いいよ~」って感覚。
Aさんからすると、“好啊!”という返答をもらった時に、相手が本当に楽しみにしているのかどうかはよくわからないのです。
中国人講師の中国語の解説は、”B也想去,想一起去,没有那么开心的感觉,但是我不知道他真的是不是开心。”で、上記の日本語で述べた通りです。
「好吧」~そんなに行きたくない、気乗りしない、でもまぁ行くことにした
A:周末我们去爬富士山吧。
B: 好吧…。
“好吧”はとにかく乗り気ではなく、仕方なくついて行ってやるか、といったニュアンス。
この“好吧”は中国ドラマをよく見る人なら声のトーンもなんとなく想像つくのではないでしょうか?
よくあるパターンが友達から無理なお願いをされてしまい、しぶしぶその要求に応じる時に低いテンションで声のトーンも低めで“好吧…。”と発するあのセリフです。
中国人講師の中国語の解説は、”它的这个感觉就是不太想去,但是没有其他的办法,其他的好的选择,但是还是决定一起去。所以如果我是A,我说“B先生我们晚上一起去吃放吧。”,那B先生说“好吧。”,那我会觉得B先生并不想去。”
もしAさんがBさんに「晩御飯一緒にどう?」、と誘った時“好吧”と返答されてしまったらAさんは「Bさんは行きたくないのだな」と思ってしまう、という事です。
“好的”はなんの感情も込められておらず、一般的には職場などで使う受け答え
“好的”は私個人も無難な受け答えなんだろうなと、どんな相手に対してもずっと使ってきた受け答えでした。
そのニュアンスは日本語で言うところの「了解です」「わかりました、そうします」などに当たる言葉。
主に職場で使われる受け答えです。
例えば、Aさんという上司が部下である張くんに、来週広州に出張にいくと伝えられる際のやり取りなどで
A上司:小张,下周你去广州见一下客户。
小张:好的。
などど受け答えします。
「了解しました」「承知しました」を意味する“收到”とだいたい同じニュアンス。
ちなみに、この二つを合わせて“好的,收到。”と受け答えすることもよくあります。また“好的,没问题。“のように“没问题“ともよく一緒に使われます。
“好的”はこのようにちょっとお堅いニュアンスなので、中国人からすると友達同士でいつも“好的”を使っていると、「この人はなんの感情も無い人だな、しゃべっているとなんかロボットみたいな感じがする」といった感想を持たれるそうです。
その他の「好~」を使った受け答え表現
“好嘞”
“好嘞”も頻繁に中国ドラマの中で出てくる受け答え表現ですね。
これについては月刊聴く中国語の出版社、愛言社のサイトで詳しく解説されています。

このWebページの解説によると、
“好嘞”は相手に同意してあっさりと、気軽に返事をするときに使う言葉のようです。“好的”や“没问题”よりも、よりくだけた返事とも言える
とのこと。
「はいよ~」とかが一番しっくりくるでしょう。個人的には友人同士でふざけて居酒屋の真似して「ハイ!よろこんでぇ~っ!」なんていうのも“好嘞”の感覚に近いかな、と思っています。
それで、この“好嘞”のピンインは”hǎo lei“なのですが、言い方はわりとちゃきちゃきしたノリのいい発声となっています。
インフルエンサーのシブルナさんのTickTockで“好嘞”の言い方を紹介してくれています。
@shiburuna 中国人と電話をする時は気をつけよう…. #日中文化 #中国語 ♬ original sound (Runa-涉谷瑠菜) – シブルナ
“好好好”
“好好好”も“好嘞”と同じくらい中国ドラマなどで耳にします。
面倒くさいお願いをされてしまったり、親などからくどくどああしろ、こうしろと言われてしょうがないなの感情をこめて承諾する時などの、「はいはいはい」、「わかったわかったわかった」というニュアンスの受け答えとなります。
この三つ重ねた“好好好”、我々非ネイティブの日本人にはスムーズに言うのが難しく、ついゆっくり言ってしまいます。
言い方の例として、熊江琉衣さんのYouTube動画が参考になります。
そもそもの疑問の出発点は“你说什么呢?”と“你说什么啊?”
今回中国人講師に“好~”を使った受け答えの質問をするきっかけになったのが、“你说什么呢?”と“你说什么啊?”のニュアンスの違いについて質問したことでした。
この二つもニュアンスの違いがよくわからなくないですか?
直訳するとどちらも「何を言ってるの?」なのです。
まずは“你说什么呢?”について。
シチュエーションによって基本的に2種類の意味があります。
1.単純に質問、疑問を投げかける
発言者がわからないことについてただ尋ねているパターン。
例.AさんがBさんに何かを告げている様子を見て、Cさんが二人に尋ねるシチュエーションで、
“你们说什么呢?” (「あなたたち何について話しているの?」単純に知りたいので尋ねた)
2.反語文のケース
AさんとBさんの以下の会話を例に挙げます。
A:“这个工作你不想干就辞职吧。”(「この仕事やりたくないならやめちゃえば?」)
B:“你说什么呢?好不容易才进了这家公司。”(「あんた何言ってるの?やっとのことでこの会社入ったんだよ!?」)
反語の意味で使われていますね。相手の言っていることは明らかに分かっているけれど、自分にとっておかしいと感じることについて、疑問文の形をとりながら、実際には強い否定を表しています。
次に“你说什么啊?”について
“你说什么啊?” の“啊” には感情が込められていて、怒っていて文句や不満の心情が含まれている時よく“你说什么啊?” が使われます。話し手の感情を強調しています。
“啊”は感情のベクトルを伸ばす感覚ととらえるといいでしょう。先ほどの“好啊!”ではポジティブな方向へ感情を伸ばして感覚。そういった意味で普通に“好”と言うよりもポジティブ感が強調されています。
それで、この“你说什么啊?” のケースではネガティブな感情を強調しています。
中国人はこのセリフを耳にした時に相手の感情があまりよくなさそうだな、と感じます。
“你受什么啊”はけんかしている時によく使われます。
例えばAさんとBさんという夫婦がいたときに、以下のような会話がされたとします。
A“我们离婚吧。我不想和你过了。”(「離婚しましょう、あなたとは一緒にいたくない」)
B“你说什么啊?这么点儿小事就要离婚?”(「何を言っているんだ!こんな些細なことで離婚するだと⁉」)
ここで“你受什么啊”の代わりに“你说什么呢”と言った場合はそれほど怒っていない心情となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?“好~”を使った受け答えの中でも特にオーソドックスで、これだけは押さえておきましょうという言い方について解説してきました。
ただ、このような語気助詞を伴った”好~”の言い方にはまだまだたくさんのニュアンスがあり、非ネイティブがマスターするにはとても時間がかかります。
例えば下の中国語講師のtakenoshitaさんのショート動画でもいろんなニュアンスの受け答えを紹介しています。
「え~、まだこんなに種類あるの?」ってうんざりしてしまいます(笑)
“啊”を使った表現でも言い方によって肯定的な意味合いと、否定的な意味合いにもなりうることもあったりで、語気助詞をはじめとした口語表現をマスターするにはやはりいろんなパターンに経験し一つ一つ覚えていくしかないですね。
今回のようになかなかネット情報だけでは理解しにくい、把握しにくいニュアンスの違いを解決するの役立ったのが、やはり中国人講師に気軽に深堀りして質問できる中国語オンラインレッスンでした。
私は2025年7月中旬時点でオンライン中国語レッスンの【CCレッスン】 を1030回 (429.2時間)受講しています。

今回の“啊”“呀”のニュアンスの違いなど、「ウーンッ、これわからんっ!」といった疑問を日々スマホやPCなどメモに書いておいて、レッスンに入ったらとことん深堀して質問して解決しています。

オンライン中国語の個人レッスンはなにも、テキストに沿ってやるだけではありません。1対1のレッスンだからこそ、その日その日で自分がやりたいことをフレキシブルにカスタマイズして内容を変えられるのがアドバンテージです。
グループレッスンとかではそのような柔軟性は求めづらいです。一緒にレッスン受けている方たちに遠慮して疑問を解決するまでとことん質問を繰り返すなんてことはできません。
また私は今回は中国語で解説を聞いて理解できましたが、日本語もできる講師も多くいるので、中国語での解説を聞いて理解できるかどうか不安だったり、そもそも中国語で質問できない、という方は日本語ができる講師を選択して質問攻めにして教えてもらいましょう。
私が継続して受講しているCCレッスンについての解説や、オンライン中国語レッスンの比較記事も書いていますので、そちらもぜひご参照ください。

