一部の中国語クラスタ(界隈)では毎年の定番ネタとなっている「センター試験の中国語試験問題を解いてみる」、私もちょっとやってみました。
私事ですが、つい先日の1週間ほど前に行われた(2025年1月12日)の中国語検定準一級二次試験に合格していたのでようやく試験勉強から解放されました。
今後ブログの更新頻度をもう少し増やしていかねばと考えており、その一発目としてセンター試験の中国語を取りあげてみます。
意外と手ごたえのあった、2025年センター試験中国語の問題
それで、試験の概要の前に私の結果について。
今回センター試験の中国語問題を初めて目にしました。これまで一度たりとも、一問たりとも試験問題を見たことがなく、いったいどんな問題が出るのか全く想像つきませんでした。
それでも一応(一次試験ギリギリ合格とはいえ💦)中国語検定準一級取得者なので、やる前は
ま、40分くらいで解けるっしょ
くらいに軽くとらえていました。(試験で与えられている解答時間は80分です)
結果、あ、あれ・・・?と1時間以上かかり、しかも結構しっかり取り組まないと解けない問題もあってセンター試験の問題をなめていました。
それで、恥ずかしながら3問間違っていました。い、言い訳させてください💦
3問のうち2問は急いで終わらせようと選択肢をすべて細かく見ないで急いで進めようと、ぱぱぱっと選んでしまったため間違ってたんですっ。後で見返して「なんでこれ選んでんの?」というレベルのミス。
まぁ、この辺私の悪い癖というか、準一級一次試験のリスニングでも一問早とちりで落としてしまっていたので実力といえば実力なのですが…。
一問だけ「これはどっちともとれるよなぁ?」と迷って選んだ問題だったので、一問は確実に落としていたのでした。
私のプロフィールにある中検準一級一次試験のギリギリ通過の結果からわかるとおり、語彙力を問う問題、特に語彙の意味を正確に把握しているかを問われる問題にはちょっと弱いところがあるのです。
問題の詳細についてはのちに触れますので、まずは現在のセンター試験の概要について。
2025年センター試験外国語の概要
2025年のセンター試験1日目(2025年1月18日(土))に外国語試験(「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」)は行われ、時間は15:20 – 16:40(80分)、となっていました。リスニングがあるのは英語だけで、英語以外の外国語は筆記のみの80分です。
日程・時間割|2025年度 大学入学共通テスト:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/edu/kyotsu-exam/schedule/
これ、英語以外の外国語を選択する場合のメリットとしては、割とその外国語ができる人にはトータルの試験時間が短くて負担が軽くなります。
英語の試験の場合は上記の80分の筆記試験に加え、さらにリスニング17:20 – 18:20(60分、うち解答時間30分)が行われますので。
英語を選択した一般の受験生たちは冬の夕方で外も暗くなる頃にさらに試験科目を1時間こなさなければならないんですね。お疲れさまでした。
デメリットとしては、帰国子女やミックス(ハーフ)の学生さんなど、小さいころから外国語に触れる環境あった学生さんでない限り、ゼロからセンター試験をそこそこ解答できるレベルに持っていくには膨大な時間がかかる事。
私がざっと解いてみた感覚で、難しい問題だと中国語検定の2級レベルくらいの難易度はあるのではないか、と感じました。
中国語検定2級レベルに到達するには、一般的に中国語を500~700時間、1日2時間程度の学習で1年半から2年程度の勉強が必要だと言われています。
これ、どこから出た数字なのかわかりませんが私の感覚だと確実に中検2級以上のレベルになるためにはもっと時間が必要に思えます。
また問題量と制限時間のバランスを加味すると、全ての問題をしっかり解ききって満点近く取りたいならやっぱり中検準一級くらいの中国語レベルが必要になってきます。
私の場合だと完全な中国語ゼロのレベルから準一級合格するまでになんだかんだ6年半かかりました。総勉強時間は記録していないのではっきり言えませんが、毎日2時間としても4700時間くらいの勉強時間が必要になります。
普通の学生さんが大学入試までに中国語をそのレベルまで持ってくるとしたら中学校に入るくらいのタイミングで中国語の勉強を始めていなければなりません。しかも英語と並行して。
このことから私の勝手な推測ですが、センター試験で英語以外の外国語として中国語を選択する学生さんは多分日本に移住してきた中国人のお子さんたちが多いのではないかと。
実際HSK試験や中検の会場に行くと、参加している若い子たちの中には普通に中国語で会話している人達も多く見かけて、そういう子たちは得てして異常なほどの早いスピードで試験問題を解き終わって試験会場を早々と出ていったりしています。
毎回そういう人たちを見て、「検定試験受ける必要あるの?」って思っていましたが、日本で生まれ育っているために中国語能力の証明が求められることもあるから検定試験を受けているのだと聞いたことがあります。
2025年度センター試験中国語の問題
それではセンター試験中国語の問題について注目すべき問題を詳しく見ていきます。
2025年度センター試験中国語の問題のリンク
試験問題は「センター試験 中国語」のキーワードでグーグル検索してさっと検索結果を見たところ朝日新聞デジタルのページがヒットしていたのでそちらを参照。
中国語 第1問|2025年度 大学入学共通テスト:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/edu/kyotsu-exam/shiken2025/mondai_day1_r79dz8aw/chinese_01.html
上記のリンクでは大問の1が表示されています。
まとめてPDFをダウンロードしていっぺんに問題を確認したい方は「問題全文」をクリックして保存すると良いです。全部で28ページのファイルです。(ページ下部のページ数の通し番号はなぜか54から始まっていますが)
解答は別リンクとなっていますので、以下のリンクからご確認ください。
中国語 解答|2025年度 大学入学共通テスト:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/edu/kyotsu-exam/shiken2025/kaito_day1_r79dz8aw/chinese_answer.html
ちなみにいまのところグーグル検索では2022年度の試験問題が検索結果の一番上に表示されています。2025年度は6番目くらいにありました。
私はご丁寧にプリントアウトして解いてみました。
個性的な問題が多い印象のセンター試験中国語
さて、実際解いてみた印象としてはなかなか個性的で想像力を要求される問題が含まれているな、という印象でした。
※以降試験問題のキャプチャをそのまま貼り付けるとコピーライト的にアレかと思うので、スマホのカメラで一部分を切り取って写した形で少し見づらい点はご了承ください。
大問1 単語のピンインを問う基本問題
大問1のA~Cは単に「単語のピンインちゃんと覚えておるか?」を問う基本的な問題なのであまり触れません。先ほどの問題用紙の表紙部分に載っているような問題が並びます。
大問1のDに関してはピンインがそのまま表示された会話ダイアログから会話内容を総括している内容を選択する問題。
言わば「疑似リスニング」問題みたいなものでしょう。
この形式、始めて見る人は少し面食らうかもしれません。
Xでもこの形式を初めて見て衝撃的とつぶやいていた人もいた(なぜかそのつぶやき今は見つからない)し、「これ中国語の試験?」と疑問を持つ人もいました。
でもこの形式、実を言うと我々日本人など漢字圏の国だと「なんじゃこりゃ?」と感じるかもしれませんが、漢字圏以外の国の人で中国語を学ぶ人にとってはごくごく見慣れた形式なんですよ。
以前の投稿でも紹介したことありますが、非漢字圏の中国語学習者、一番初めに使う中国語テキストがオールピンインのものであることは珍しくないんです。
なんなら一部の中国語学習者の中にはほとんど漢字を読めないのに会話はめちゃくちゃ流暢なんて人もいるのです。そういう人は中国語のほとんどの単語を音で、つまりピンインで覚えているのです。
まぁ形式はともかく、このピンインの羅列を脳内で音に変換してどんな会話しているのかわかれば特に難しくはない問題です。
大問4 中国語力以外に論理的思考(ロジカルシンキング)力も問われる問題
大問2、3のA~Cは単なる語彙力を問う問題なので紹介は省きます。大問3のB、Cでまたしてもピンイン表記フレーズが出てきていました。
大問4では森林問題に関する内容が続きます。特にA-問2ではグラフを読み解く力が求められ、単なる中国語力だけでなく、中国語を正しく理解し、グラフの傾向から各項目を当てはめていくという能力が問われています。
これ、グラフを読むの苦手な人にはちょっと酷な問題。でも良問といえば良問なのかも?と思いました。
またB-問2は五つの木工細工のそれぞれが4つのフレーズで紹介されていて、チラシに書かれた画と照らし合わせて選択するという問題。
これも各フレーズからどんな木工細工なのかを想像する必要がある良問です。これこそまさに中国語能力を問う問題と言えるでしょう。
そして個人的に一番時間がかかってしまった大問4のB-問3。いやいやこれ、中国語問題というより”脳トレ問題”の範疇に入るんじゃないか?と解きながらツッコミたくなりました。
右側の文章にはとある日のイベントに参加したときの短い日記のような文章が書かれていて、その文章中の時間や場所、気候の情報から(ア)~(カ)の空欄がどのイベントなのかを当てる問題。
一個一個条件に当てはめたり、消去法で選択肢をしっかり絞らなければ解けない問題。中国語で文章をしっかり理解しつつロジカルに物事を判断、処理できるかを問う問題になっています。
私は途中で「時間かかり過ぎだ、とりあえず先」と飛ばして最後まで解いて改めて解き直すという始末でした。だいぶ時間を食いました。
これって、中国語力を問う問題なのか(笑)?
でも英語のセンター試験問題もここ数年、英語力そのものを問うだけでなく、英語をしっかり読み解いたうえで物事を判断する問題が出題される傾向である、と毎年の新聞のセンター試験分析記事から読み取れるので、中国語も例にもれずという事なのでしょう。
うーん、にしてもこれを中国語の問題で出しますか(笑)?
この問題に難癖をつけるとしたら、各催しの開催時間の条件はもう少し読み手が勘違いしないようクリアに明示すべきだったのではないか、と思います。
具体的に言うと、各催しは場合によってはすべて一時間区切りなの?と捉えることもできるわけで、一コマ一コマがつながっているからと言って、それが継続して2、3時間開催される催しだとはどこにも書いていない。
二通りに意味内容がとらえられてしまうような設問文はちょっと良くないですね。
中国語 第4問|2025年度 大学入学共通テスト:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/edu/kyotsu-exam/shiken2025/mondai_day1_r79dz8aw/chinese_04.html
最後の大問5は中国語検定などに出てきそうなありきたりな問題。なので詳しくは触れません。
大問5はレベル的にはHSK5級以上とか、中検2級くらいに感じます。
まとめ
以上ざっとですが2025年度のセンター試験中国語の問題の気になった問題について紹介しました。
繰り返しになりますが、大問4を解いてみて「ほぅ、こんな問題を出題するのか、なかなか面白い」という感想をもちました。
皆さんの中にもなかなか面白そう、と感じた人も多いのではないでしょうか?試験問題は朝日新聞デジタルのWEBサイトから無料で閲覧できるのでぜひ解いて見てください。中国語を使ったいい「脳トレ」になりますよ。
↓こちらは1日目の全問題と解答になります。
2025年度大学入学共通テスト 問題・解答速報(1日目):朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/edu/kyotsu-exam/shiken2025/day1.html
ちなみに、以前白帝社から中国語のセンター試験対策本出していたようです。さすが白帝社。今や中古本でしか入手できず、Amazonの価格で3万円とかいう法外な値段がつけられています。