HSK5級に合格し、「さぁこれからHSK6級の対策を始めるぞ!」という方の多くがまず最初に購入を検討するのが単語帳でしょう。
語彙力が無ければHSK6級は話にならないのです。
私は今ではHSK6級得点8割(240点)越えとなりましたが、最初は単語帳を使っての勉強が中心でした。
今回はHSK6級対策向けの主要な単語帳3つの比較レビューを紹介いたします。紹介するのは以下の3冊(右側の聴読中国語は参考として)。
結論から先に言うと、私のオススメは
です。
例文の長さと難易度のバランスが良いのが主な理由です。以下にそれぞれの単語帳の特徴をまとめましたので、参考にしてください。
また、単語帳は向き不向きもありますのでご自分にとって、どの単語帳が合っているのかよく吟味して決めて下さいね!
HSK6級対策向け3大単語帳比較表
必ず☆でる単スピードマスター | 単語トレーニングブック | 読む聴く覚える2500 | |
---|---|---|---|
著者・出版社情報 | 原著者:李 禄興 監修:楊 達 出版社 : Jリサーチ出版 | 外語教学与研究出版社 (著), 李貞愛 (監修) | 田芳,安明著(著) 出版社:東方書店 |
特徴 | コンパクトサイズの中国語単語帳。要約作文(約400字)の対策語句100と解答例も収録。HSK6級入門としては適切な難易度。 | 難易度の高い例文がのっけから頻出。例文で扱うテーマが幅広く文化習慣の知識も増える。全100問の類義語弁別問題も設置されている。 | 単語が72篇の文章(700~800字)に組み入れられている。1日1篇繰り返し読めば、2か月半で新出語彙が身に付くという謳い文句。 |
お勧め度 | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★(★) |
こんな人に向いている | これからHSK6級対策をじっくりと始めようとする人全般。 | 既にかなり実力があって、ためしにHSK6級を受けようという人。HSK6級の単語について深く理解、復習したい人。 | 単語を単語帳で覚えるのが苦手な人。単語を覚えつつ、長文読解、リスニング力も高めたい欲張りな人。他の単語帳を一通り終え、リスニングトレーニング用素材として使いたい人。 |
メリット | 例文の長さ、難易度のバランスがちょうどいい。 サイズがコンパクトで持ち運びしやすい。 | 語の組み合わせ・関連表現・類語の使い分け等解説が豊富。 | リスニングのトレーニングにはもってこい。文脈とともに単語を記憶に残せる。読んでいて面白い文もある。 |
デメリット | これをやるだけではリスニングの対策には不十分。 単語の用法の深い理解には向かない。 | 例文の難易度が高く、分量が多いので途中で挫折する可能性は高い。これをやるだけではリスニングの対策には不十分だが6割は取れるようになる。 | HSK5級合格直後のレベルでは1つの例文を読み終わるのにかなり時間がかかる。新出単語以外の例文中の単語にはピンイン記載が無いので調べる手間がかかる。 |
価格 | ¥2,750(Kindle版¥2,200) | ¥3,520(Kindle版¥2,500) | ¥3,300(Kindle版無し) |
サイズ | 120 x 26 x 180mm | 150 x 26 x 210 mm | 150 x 18 x 210 cm |
ページ数 | 688ページ | 448ページ | 320ページ |
収録単語数 | 2500+作文対策語句100 | 2500 | 2500 |
単語の並び順 | 品詞別でピンインアルファベット順 | カテゴリ順 | 各文章に使われている単語に依る |
カラー | 朱色系グラデーションベースで数色と黒を使用 | 朱色系グラデーションを2色と黒を使用 | 黒と朱色の2色を使用 |
ピンイン振り仮名 | 単語と例文にも付記 | 単語のみ※例文のピンイン(PDF)が公式ページでダウンロードできる | 単語のみ |
例文 | 1単語につき1~2文 | 1単語につき1~2文が基本で3文あるものも | 700字の例文に対し35個前後の単語 |
基本音声 | 単語(中国語→日本語)・例文(中国語)。後半の要約例題文章の読み上げ音声あり※サンプル音声あり | 単語(中国語)・例文(中国語)(日本語は無し) | 各例文の単語約30個連続で読み上げ(中国語)と例文(1’30”~4’30”くらいの中国語)※公式ページ中段にサンプル音声あり |
音声のスピード | 一定(HSK6級試験のスピードより若干遅い) | 一定(HSK6級試験のスピードより若干遅い) | 前半3文くらいゆっくり、中盤からHSK6級標準スピード |
ナレーター | 女性1人、男性1人 | 女性2人、男性1人※「必ずでる単」と同じ女性1人 | 女性1人 |
音声ファイルの利用法 | 公式ページからMP3ファイルをダウンロード。またはaudiobookアプリで使用するには1個\330のセットを6セット購入する必要がある。 (アプリ内購入なら290Cで) | 公式ページからMP3ファイルをダウンロード。 AppleのPodcastとSpotifyでも視聴可能。 ※以前はaudiobookアプリで再生可能だった | 公式ページからMP3ファイルをダウンロード |
その他 | 紙質は文庫本の紙と同等の厚み。めくりやすいが耐久性は不安。Kindle版 のText-to-Speech非対応。ブログレビュー記事はいくつかある。Amazon評価4.4(2023.4現在) | 一般の書籍用紙。Kindle版 のText-to-Speech非対応。ブログレビューが見当たらず、やはり挫折者が多いのか。Amazon評価3.9(2023.4現在) | 一般の書籍用紙。ブログレビューが多く評価も高い。Amazon評価4.5(2023.4現在) |
新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター 現時点でオススメナンバーワン
本の中身の基本構成と良いところ
1つ目はHSK6級対策向けの単語帳おすすめナンバーワンの「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター」。
この単語帳を一番にオススメする理由は以下の通り。
- 単行本を少し小さくしたサイズで持ち運びに便利
- 例文の長さが長くても20文字
- 例文中で使われている単語が比較的平易
- 例文にもピンインのフリガナがある
①は電車の移動時間などの隙間時間学習用としても気軽に鞄に入れておけて、片手で持っていても苦にならないサイズです。
特に②~④により、見出しの単語の暗記に集中でき、挫折を避けやすいのが特長です。
例文にもピンインのフリガナが振ってあると、よく聞き取れなかった言葉を調べるときの手間が減ります。
例文にピンインのフリガナが振っておらず、時には40文字近くの例文を載せている「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」とはこの点大きく異なります。(例文一行辺り最大27文字で改行して2行に及ぶ例文もある)
赤チェックシートが付属していて、日本語の意味と、例文中の見出し単語を隠すこともできます。
欲を言えば、全てのピンインも赤字にしてもらいたかったです。見出し単語以外の文章全体の発音の聞き取りのトレーニングができないのが少し残念でした。
要約作文のページは以下のようになっています。約1000文字の練習問題文2つが掲載されています。
要約解答例もついていて参考になります。
出版社の公式ページ内に試し読みがあるので、そこでも書籍の中身を確認できます。
音声ファイルの構成
「ながら学習」に最適な音声パターン
とにもかくにもサンプル音声を聞いてみてください。audiobook.jp内のリンクです。
音声パターンは、単語(中国語→日本語)・例文(中国語)の順となっており、単語の意味を確認できるので音声をただ聞いているだけの「ながら学習」でも単語の意味を暗記することができます。
ナレーターの声は前半女性、中盤男性、後半再び前半と同じ女性となっており、再生スピードはHSK6級標準よりも若干遅い程度。
本を購入していなくても公式ページにはダウンロードリンクおよびユーザー名とパスワードが公開されているので、音声だけをすべて確認したい場合はMP3ファイルをダウンロードして再生してみて下さい。
音声ファイル数は多めの354個
新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスターの音声ファイルは見開き1ページに対して1個の音声ファイル、という構成になっています。
したがって1個1個のファイルの再生時間は大体1分30秒平均です。このこまごまと分かれたファイル構成は好みがわかれるかもしれませんが、個人的には使いやすいと感じています。
というのは、1単元または1カテゴリにつき1ファイルという構成だと、1ファイルの長さが10分とか長いと20~30分となり、自分が見ているページの音声再生部分をすんなりと探し当てられないことが多くなってしまうからです。
その点新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスターの場合は見開きページ左側上部に「Track154」というようにファイル番号が振られていて再生箇所がすぐに参照できるようになっています。
アルバム名は6つに分けて設定されている
354個もファイル数があるので、出版社側も全ファイルを1個にまとめるより、60個ずつで区切ったほうが使い勝手が良いと考えたのでしょう、60個ごとにアルバム名がそれぞれ割り振られています。
例えば、ファイル001~060には「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター Track001-060[Jリサーチ出版]」というアルバム名が割り振られています。
それがどうした?という話なんですが、以下のようにiPhoneのiTunesに登録した場合アルバムが6個追加されることになります。
このようにプレイヤーに6個アルバムが追加されて煩わしい、というのであれば全ファイルを選択し、右クリックでプロパティメニューの詳細でアルバム名の「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター Track001-060[Jリサーチ出版]」の後半部分を全部削除してアルバム名を統一すれば一つのアルバムになります。
ただ、想像してみて下さい。
このプレイヤーの再生リストを親指でひたすら300番台のファイルまでフリップして移動することを考えればアルバムが6つでも構わないか、となるでしょう。好みの問題なのであくまでも参考までに。
いまいちなところ
解説は必要最小限
「解説が少ない」、これでしょうね。既に見てお分かりだったと思います。
例として“颁布”という単語を挙げます。
上部が「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター」、下部が「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」。
「必ず☆でる単」の方は意味だけがシンプルに載せられているのに対し、
「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」では似た意味の単語の微妙な違いや使い分けについて詳しく解説されています。
上の画像の例では颁布と公布の使い分けについて書かれています。
この点に関しては、膨大な単語数(2500語)を学ばなくてはならないので、最初はざっくり一通り学ぶことを優先と考え、解説不足に関しては問題なしと割り切ってもいいでしょうね。
ちなみに、「単語トレーニングブック」の方は単語の並び順がカテゴリ順なので上下に似た意味の単語が並んでおり、比較しながらの学習もしやすいです。
「必ず☆でる単」の方はピンインアルファベット順で単語が並んでいます。
音声はポッドキャストやaudiobook.jpの無料に対応してほしかった
音声ファイルは今のところmp3ファイルをダウンロード入手のみです。したがってiPhoneの場合などは再生速度を変えるには別個で使い勝手の悪いアプリを入手しなければならず不便です。
自宅のPCなどで1.5倍速、2倍速再生するのであれば、ほとんどの再生プレイヤーが速度変更に対応しているので問題ないのですが、移動中にスマホで音声を聞く場合は標準速度が基本となってしまいます。
学習効率を上げるために1.5倍以上で聞くのが好ましいですが、それが手軽にできないのはちょっと残念です。
※audiobookについては各60個のファイル1セットごと330円で購入できる。
「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター」の総括
上述したように、この単語帳はあえて解説を省き、簡潔にしたことで単語の意味だけに絞りこんで学ぶのに非常に向いています。
初版発行は2020年の10月と、2023年4月時点で最も新しい版なだけあって、他の単語帳の不満点が解消され、無駄がそぎ落とされている印象です。
考えてみて下さい。HSK6級で新たに学ばなくてはいけない単語は2500語です。
1日7語覚えるとすると、1年はかかる計算です。
まずは一通り主要な意味をバンバン覚えていく。
その後いろいろな文章を読んだり、会話の中で知識を追加していく、というスタイルで取り組むのが効率が一番いい学習方法です。
一語一語細かいところにこだわりすぎると時間が足りませんからね。
合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック
本の中身の基本構成と良いところ
2つ目はトレーニングブックシリーズとしてご存じの方も多いでしょう、「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」です。
実は私はこれをメインで使っていました。2019年時点の選択肢はこれしかなかったのです。
形容するならば「やり切れば確実に力はつくが、使う人を選ぶドMガチ学習者向け単語帳」といったところです。
この単語帳の良いところは以下になります。
- 見やすいページデザインとレイアウト
- 詳しすぎる解説
- 単語の並び順がカテゴリ順なので類語を比較しやすい
- 例文に使われるトピックが幅広い
- 同シリーズを統一して使うと下位級バージョンを参照できる
①のデザイン、レイアウトに関しては好みによりますが、ピンイン、品詞、意味、例文がすっきりまとめられていて、見やすくなっています。
②の詳しすぎる解説について、上の画像の一番上の単語、“暴露”を例に挙げます。
“暴露”の下の注釈欄には最初に「組」という記号があり、その後ろによく組み合わせて使われる単語が紹介されています。
そしてその下には5個の類語とその使い分けが解説されています。これはなかなかスゴい(笑)
後々中国語で作文をするときに、辞書感覚で参照するのに役立ちます。
ざっくりと見た感じですが、組み合わせて使われる単語の項目は9割以上の単語に付されています。
赤チェックシートにも対応です。
③のカテゴリ順の単語の並びも好みによりますが、アルファベット順で意味をランダムに覚えるより、カテゴリでまとめて覚えた方が覚えやすい方には向いていますね。
本書の単語掲載順は以下のようになっています。音声ファイルはこのカテゴリごとに分けられていて、合計52個となっています。
音声ファイル名 | カテゴリー名 | 音声ファイル | カテゴリー名 |
HSKW6-Ul-1 | 人の呼称・属性・身分・職業 | HSKW6-U2-9-1 | 社会に関するその他の言葉 ①名詞 |
HSKW6-U1-2 | 人の体、外見 | HSKW6-U2-9-2 | ②動詞 |
HSKW6-U1-3 | 病気、体の状態 | HSKW6-U2-9-3 | ③形容詞その他 |
HSKW6-UI-4 | 飲食・食生活 | HSKW6-U3-1 | 数字・順序・量 |
HSKW6-U1-5 | 衣生活 ・ 身の回りの物 | HSKW6-U3-2 | 量詞 |
HSKW6-U1-6 | 住生活 ・ 日常生活 | HSKW6-U3-3 | 金銭・経済 |
HSKW6-U1-7 | 人生 | HSKW6-U3-4 | 暦・時間・タイミング |
HSKW6-U1-8 | 人の性質 | HSKW6-U3-5 | 頻度 |
HSKW6-UI-9 | 人の能力 ・才能 | HSKW6-U3-6 | 範囲、程度 |
HSKW6-U1-10 | 人の認識・知覚 ・ 思考 | HSKW6-U3-7 | 場所、施設、建築物 |
HSKW6-U1-11 | 人の気持ち・意志 | HSKW6-U3-8 | 交通・運輸関係 |
HSKW6-U1-12 | 人の状態 | HSKW6-U3-9-1 | 気象、地形、地球・宇宙 ①気象 |
HSKW6-U1-13-1 | 人の動作 ①移動 | HSKW6-U3-9-2 | ②地形 |
HSKW6-U1-13-2 | ②手を使う動作 | HSKW6-U3-9-3 | ③地球、宇宙 |
HSKW6-U1-13-3 | ③足を使う動作 | HSKW6-U3-10-1 | 生物・物質・その他自然界のもの ①生物 |
HSKW6-U1-13-4 | ④目・ロ・顔、頭の動作 | HSKW6-U3-10-2 | ②物質 |
HSKW6-U1-13-5 | ⑤体を使うその他の動作 | HSKW6-U3-10-3 | ③自然その他 |
HSKW6-U1-14 | コミュニケーションに関する事柄・動作 | HSKW6-U3-11 | 生物・自然・科学、場所に関する動き、状態 |
HSKW6-U1-15 | 対人行動 | HSKW6-U3-12 | その他のさまざまな事物・事象 |
HSKW6-U1-16 | 人のその他の行動 ・活動 | HSKW6-U3-13 | さまざまな事物・事象に関する動き,状態 |
HSKW6-U2-1 | 国家、政治 | HSKW6-U4-1 | 日ロ氣、否定、その他の副詞 |
HSKW6-U2-2 | 軍事 | HSKW6-U4-2 | 介詞、接続詞、接続詞的な意味を持つ副詞・動詞 |
HSKW6-U2-3 | 司法、警察、犯罪 | HSKW6-U4-3 | 代詞、助詞、感嘆詞 |
HSKW6-U2-4 | 産業、仕事 | HSKW6-U4-4 | 四字成語 |
HSKW6-U2-5 | 言論 | ||
HSKW6-U2-6 | 文章 ・文学・学問 | ||
HSKW6-U2-7 | 芸術・音楽・ スポーツ | ||
HSKW6-U2-8 | 人の社会的行動 |
④の例文に使われるトピックについて。幾つか例を挙げていきます。
882番目の単語に“请帖”という単語があり、例文は
882.下个月我儿子满月,我给你发请帖,你一定要喝满月酒啊!
となっています。生後1ヵ月祝いで招待状を送るから来てくれ、という意味なのですが、この例文の中の“满月”という単語なんかは中国の文化習慣に関する知識を増やすのに役立ちます。
このようにこの単語帳では見出し単語に加え、ちょこちょこと当たり前のように例文に中国の一般常識に関する単語が使われています。
また、50番目の“泰斗”、60番目の“大臣”の例文はそれぞれ以下になります。
50.季羡林是近代中国文学的泰斗。
60.魏征是唐朝有名的大臣。
季羡林、魏征といった、中国では一般常識レベルの固有名詞もこの単語帳ではバンバン使われるので、例文を読みつつネット検索をしていくことで、知識を蓄積していくことができます。
この手の固有名詞に関する内容ってHSK6級では結構当たり前のように問題文に、とくに听力(リスニング)でも出てくるので知っておく必要があるのです。
⑤のシリーズ下位の級の単語帳との参照について、以下の例を見て下さい。
これは先ほども出てきた“颁布”の注釈欄ですが、“颁布と公布”の後ろに(5級 1233)とありますね。
これは単語トレーニングブック5級バージョンの1233番のところに“公布”が掲載されていますよ、という意味です。
中国語のみの音声
音声ファイルの個数は先ほども述べましたが、カテゴリ1番目の「HSKW6-Ul-1」~52番目の「HSKW6-U4-4」までの合計52個。
音声ファイルの中身は、単語(中国語)→例文(中国語)となっていて、日本語は一切無しです。
したがって本を見ながら音声を聞く学習スタイルが基本となります。
ある程度聞き取れているか、ほぼ単語を覚えている方なら聞き流しているだけでも、単語の復習教材として活用できるでしょう。ただし、かなり中国語レベルが高い方向けのやり方になります。
音声は公式ページからMP3ファイルのダウンロード(本のまえがき部分に書いてあるシリアルコードが必要)か、AppleのPodcastとSpotifyでチャンネルをフォローすることで聞くことができます。
下の画像はAppleのPodcast。「HSK6」というキーワードでは検索ヒットせず、「トレーニングブック」や「合格奪取」のキーワードでヒットした。
PodcastはiPhone標準の再生アプリと違って再生速度が変更できるのがいいですね!1.5倍速くらいで学習するのがオススメ。
いまいちなところ
例文にピンインの振り仮名がついていない
この単語帳に収録されている例文は長いものが多く(1行最大27文字、改行して40文字近くになるものも)、使われている単語も難しい語がふんだんにちりばめられています。
したがって、単語力が備わって音声のスピードに慣れるまでは例文中の語句を調べることに大量の時間を割かれてしまいます。心が折れます。
と、この話は私が2019年にこの本を買った当初の話(必ず☆でる単スピードマスターは2020年10月の発行)。
購入者の不満の声を反映してか、公式ページの下の方に「例文のピンイン(PDF)」というリンクがいつからか登場していました。
この例文のピンインはかなり活用できるので必ずダウンロードしておきましょう。
PC画面で閲覧するのはもちろん、スマホのクラウドストレージアプリやPDFリーダーアプリ、Kindleにアップロードしていつでも閲覧できるようにしておくと良いです。
これでピンインを調べる手間がだいぶ減ります。
ピンインPDFがあるとはいえ、電車での移動中などに書籍とタブレットを持ち、音声再生用にスマホも手元に必要であるので、両手がふさがってしまいやはり不便であることは否めませんね。
余談ですが、私はこのピンインPDFがアップされる前にこの本に取り組んだので、発音を聞いても微妙にピンインが聞き取れていない単語を調べる時、スマホの辞書アプリに漢字を手書き入力する、というとても手間のかかる作業を強いられました…。
例文が長く、使われている単語が難しすぎる
これは良いところ④の「例文に使われるトピックが幅広い」と表裏一体とも言えます。
まず面食らうのが4番目の単語“配偶”の例文。
4.出售婚后房产时,要取得配偶的同意。
HSK5級合格直後でこの例文の“出售”、“房产”といったビジネスシーンでよく出てくるレベルの単語をのっけから使われてしまうと音声聞いただけでは全くわからなくなります。
また、21番目の”助手“の例文は以下になります。
21.这个项目是王教授主导,我只是做他的助手。
この文中の”主导“は単語帳の1548番目に出てくる単語です。
何となく想像つくと思いますが、もうね、最初のカテゴリーの3ページくらいでクタクタになってしまいます。
2372番の“以至”の例文は以下。
2372.公司从各部门总监到一般员工以至临时聘用人员,都在关注这次董事会的决定。
音声聞きながら听写やっている時なんかは、「いやいや、長ぇ~よっ」ってツッコみたくなります。
このような原因で途中で挫折しやすい単語帳とも言えます。
音声ファイルの再生時間が長め
各音声ファイルの再生時間は短いものだと1分20秒くらい、平均的には6~8分くらい、そして長いものだと20~30分ともなります。
再生時間が長いファイルだとちょっと使いづらいときがあります。本を開いたページのとある単語が、音声ファイルの8分くらいのところなのか、9分?10分?なのか、と再生部分を見つけ出すのに結構手間取るのです。
Kindle版はText-to-speach非対応:テキスト検索ができない
Kindle版のテキスト検索はできない仕様でした。
PCで開いても、タブレットで開いても単なるPDFファイルを開いたようなものでした。
「Text-to-speach非対応」と書いてあったので、結果はほぼ予想はついていましたが、人柱としてKindle版も試しに購入してみましたよ・・・。ああ、¥2,500が・・・。
なぜわざわざKindle版を買ってみて、テキスト検索を試したかったかというと、それは後述する「参考例文集としての活用」に非常に使えそうだと思ったからですが、Text-to-speach非対応なら全く意味ありませんでした。
参考例文集として活用
この活用法は、単語を覚えるためのものではなく、一通りこの単語帳をやり終え、作文の際の参考例文集として使うときの活用法です。
といっても万能な活用法ではない点はご了承ください。
やり方としては、先ほどのピンインPDF中の文字検索を使う方法です。
例として、
「観光資源を活かして、観光業(旅行業)を発展させた」
といった内容を含んだ文を書く必要が出てきてしまったとします。
記憶の中では『そんな感じの文章を「単語トレーニングブック」の中で見たことあるような気がする・・・。』と思い浮かぶが、どこに書いてあったかわからない。
さらに「単語トレーニングブック」の後ろの「ピンインアルファベット順索引」から探そうにも、その文章の見出し単語も分からない。
ヒントとして確実に覚えているのが”观光业“か”旅游业“どちらかの単語は確実に文中で使われていた、とします。
ピンインPDFを開いた状態でWindowsならCtlr+Fキーを押して、検索ボックスを呼び出し、検索ボックスにまずは「guanguang」と入力します。
”观光“のピンイン”guānguāng“の声調部分をそのままアルファベットで表示した文字列です。
すると、3件ヒットしましたが、どれも記憶にある文と内容がかけ離れていたので、検索ワードを「luyouye」に変更して検索し直し。
「ǖ」の部分は声調記号を外した「u」となります。「v」ではありません。
すると2つの例文がヒットし、そのうち1019番の例文がまさしく探していた文章。1548番の文章も割と参考になるという発見もありました。
1019の例文は
这个城市开始依托良好的生态环境,开始大力发展旅游业。
で、「なるほど”依托良好环境“を使うと「良好な環境を拠りどころとして」と言った言い方ができるのか」
とか、
「1548番の”以旅游业为主导“で「旅行業を主導的なものとして」といった言い方ができるのか」
と参考にできるのです。
ちなみに“旅游”「luyou」でも12個程度のヒットなので、探し当てるのにそれほど時間はかかりません。
このやり方は、
「え~と、あの文章なんだったけなぁ、確か”〇〇“って単語は使っていたはずなんだよ」
というパターンの時に有効です。
百度などのネット検索やDeep-L翻訳などでもそれなりに参考となる文章は出てくるのですが、正直間違った文章も割とヒットしてしまいます。
というのは中国人と言えども、全員が全員普通话を完璧に使いこなせているわけではないからです。
地域によっては普通话が怪しい中国人がいて、ネット検索でヒットした中国語文章の中にも文法的に怪しかったり、語句の組み合わせがおかしい文章が結構多く存在しています。
それに対して、この「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」中の文章は信頼度がはるかに高いのは自明でしょう。
弱点としては記憶にうっすらと残っている文の中の単語が、一つも連想できない時。こうなるともうピンインアルファベット検索すらできないんですよね…。
日本語訳文中の日本語単語検索や、中国語単語そのままでの検索ができたら良かったんですけどね。
ちょっと参考に:フリクションボール0.38mmでピンインメモ
ピンインPDFが参照できるようになったとはいえ、中には例文中にピンインのメモを書いておきたい方もいらっしゃることでしょう。
見ていただければわかると思いますが、例文の上部の余白、結構狭いんです。
そこで私はフリクションボールの0.38mmの赤でピンインをメモしました。
これくらいの細さだと文字がつぶれず判読可能です。またフリクションボールなら修正するのも楽ですから。
HSK6級 読む聴く覚える2500
先に挙げた二つの単語帳とは毛色が全く違うアプローチの単語帳。
各篇に700~800字程度のオリジナル文章があり、HSK6級語彙要綱の新出語彙2500語が72編のオリジナルの文章に組み入れられています。
ストーリーと一緒に単語に触れられるので、文脈を通して「単語が覚えやすくなり」、全編こなすことで自然に2500語をマスターできる構成になっているのです。
「1日1篇ペースでこなしていけば2か月半でHSK6級の新出語彙が身に付く」、との公式サイトの謳い文句。
本の中身の基本構成と良いところ
まずはざっくりとこの単語帳の中身について紹介いたします。
ここで紹介しているページは公式サイトで「内容見本」(サイトのページ中段、本のマークのアイコンのところ)としているページです。
内容見本は第36天(第36日目)の「禁欲盒子(禁欲ボックス)」のページ(P.142-145)です。
STEP1
各篇の構成はまず最初のページにSTEP1としてその日習得すべき単語が35語前後ピンインと意味が付記されて列挙されています。
単語は赤字で記載されているので、赤のチェックシートで単語を隠すことができます。ピンインと意味から単語を類推するのに使えます。
欲を言えばピンインも赤字で表記してほしかったです。
日本語の意味のみの提示で、それ以外はノーヒントで単語を類推するトレーニングができたんですけどね。
STEP2
STEP2は各篇の文章の中でSTEP1で出てきた単語の部分が空欄になっており、文章を読みながら発音し単語を書き込む演習用という位置づけのようです。
STEP3
STEP3では左ページに700~800字程度の文章、右ページに日本語訳が載っています。
STEP3中の中国語の文章を見てみるとわかりますが、STEP1に列記されていた単語が赤字となっているので、赤のチェックシートで隠すことができます。
この単語帳の良いところは以下になります。
- 文脈を通して単語が覚えやすい
- 長文の読解力も付く
- HSK6級リスニングのトレーニングに最適
- 书写の練習題材としても使える
①については至極当たり前で、学習法という観点では特に言及不要だと思いますので、ここでは扱っている文章の内容について特長を紹介します。
取り扱っている題材には実際に起こった内容も多く含まれているので、印象に残りやすく面白く読めるものが多いです。
たとえば、日本のニュースで言うと、
第二十八天の“树木希林和他的丈夫”では日本語タイトルの「樹木希林とその夫」からわかるように樹木希林さんの逝去の内容を扱っています。
また、第三十八天 “林志玲大婚”はリン・チーリンの結婚の話を扱っています。旦那さんはご存じEXILEのAKIRAさんです。
私はこの文章を読んで「EXILEの中国語は“放浪兄弟”と訳されているのか」と知りました。
他には中国の過去に話題となったニュースなども取り扱っていて、例えば、
第二十七天 ベンツ車の女性オーナーと販売店のトラブルの話
などがあり、文章を読んでいる段階ではどんな情景なのだろうと想像を膨らませ、読み終わったら百度などの検索サイトで中国語キーワードを見繕って、ニュースを探し当て「ああ、実際にはこういう人だったんだな」と印象に残る読み方ができます。
中には悲惨な事件を扱った文章も含まれていて、ちょっとどんよりした気分になるものもあるんですけどね(汗
②~④に関してはHSK6級の過去問と照らし合わせてみればお分かりでしょう、試験対策としてとても有効活用できます。
長文の読解力の養成について。
HSK6級阅读の第4部分の長文の長さは大体この単語帳の各篇で載せられている文章と同じくらいの長さか、それよりも少し短いくらいの長さです。
文章の難易度もちょうどいいのでこの単語帳の文章をしっかり精読してすらすら読めるくらいになれば阅读の長文問題も怖くはなくなります。
HSK6級听力(リスニング)のトレーニング素材としての活用について。
②同様、これもHSK6級听力の過去問を見てもらえればわかりますが、听力第二部分のインタビュー会話ネタの長さがだいたい700字分くらいのものが多く、各篇の文章の長さと近いです。
実際の試験ではこの長さの文章が一気に読み上げられます。
各篇の文章を通しで聞いてストーリーの大枠を掴みつつ、キーポイントとなる重要な情報(ex.数量や地名など)も記憶するトレーニングにも使えます。
キーポイントとなる情報は、听力の試験問題の解答の選択肢でよく出る、~年、日数、人数、やどこ?等の事です。
书写の練習題材としての活用について。
HSK6級の书写(作文)問題は、10分で1000文字の文章を読み、30分で400字程度に要約するというもの。
この単語帳に収録されている文章はいずれも700~800字程度なので、书写の題材として使うには300文字程度不足した文章にはなってしまいます。
しかし要約のトレーニングとしては文章を覚える時間を例えば10分→8分に短縮して取り組むなどすれば十分使えます。
模範解答はないですが、しっかりと和訳文章も付属している文章素材であるので、文章の全体の意味も後でしっかり振り返ることができます。
中国のサイトなどで1000文字程度のエッセイなどは結構見つかり、书写の題材にも使えますが、後で文章を再確認するとき、意味がちゃんと把握できているか不確かだと元も子もないですからね。
あと、各文章しっかりタイトルが付けられているので书写のタイトル付けの参考にもなります。
书写の対策については下記記事もご参考ください。
ストーリーのある文章なので音読も飽きずに継続しやすい
HSK6級対策学習と直接的な関係はないですが、中国語学習全般として有効な学習法として文章の音読があります。
これは何も中国語に限ったことではなく外国語学習には音読が非常に有効な学習法であることは疑いようのないことはみなさんご存じでしょう。
音読によってスピーキング力の向上になりますし、さらに音読はリスニング力の向上にも非常に効果があります。
この音読素材としてもこの単語帳の文章は適しています。
先に挙げた二つの単語帳「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター」と「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」は短文単位の例文が並んでいます。
これらの例文をひたすら音読し続けるのは「読経」作業に近いものがあり、分量が多くなってくると精神的につらくなってきます。
一方でこの「HSK6級 読む聴く覚える2500」に掲載されている文章は一つの物語として完結しているので、音読しながらもストーリー、文脈を意識でき、飽きがきづらいようになっています。
また、文章を音読し続けることで中国語文章の流れの特徴を掴むことができのちのち中国語文章作成力の向上に役立ってくれます。
いまいちなところ STEP2は意味ある?
STEP2はご覧のように新出単語部分が穴あきになっていて、「文章を読みながら発音し単語を書き込む演習」という意図で設けられたページ。
でもこれって必要でしたかね?
STEP3のページで赤シートを使えば新出単語を隠せるし、ノートやメモ帳に書けば書き取りの練習になります。
要望としては、同じ東方書店から出されている、中国語筋トレ100読練習法のように、ピンイン文ページを設けてほしかったです。
このページがあれば音読練習にもなりますし、新出単語以外の単語のピンインを調べる手間が省けます。
とはいえ、この程度の不満は許容範囲でしょうか。このSTEP2のページの除けば他はいまいちだなと思うところはほぼありません。
まとめ
各単語帳共通の基本活用法
基本の活用法は以下です。
- 1周目とにかく聞いて、例文含め音読をする。
- 2周目听写(ディクテーション)をする。
これだけ?と拍子抜けするかもしれませんが、なにしろ2500語+αあるので、語学留学などで時間がある方でない限り、これだけで1年はかかることは覚悟しておいた方がいいです。
①に関しては当然意味を確認しながらになりますが、音読の際しっかり音声の真似をしてつっかえないように言えるようになったら次の単語に進む、というように自分に厳しくしてください。
意外と音読を軽視して、音声だけ聞いて脳内だけで完結させてやった気になってしまうという落とし穴にハマりがちです。
実際に口に出して発声することがとても重要です。
外国語学習においては、こうやって音読をしっかりするだけで“读、听、写、说”の4技能が上達するのです。
また、単語帳に収録されている例文数が膨大なので、単語帳を進めるにつれ前に学んだ単語が数回出てくるので自然と復習にもなります。
音読に関してはのちに紹介する忘却曲線チェック表などを活用して適切なタイミングで復習するようにしてください。
この際の復習は「改めて聞き取ってみる」程度でも構いません。聞き取れなかった箇所を重点的に確認してください。
音読が終わったら②の听写(ディクテーション)へ。これは2500語一気に1周してからやるのではなく、自分にとって区切りのいいことろで分けて、例えば200語ごとに①→②という風にセットでやりましょう。
やはり自分の手でしっかり書くことで字を覚えるのはもちろんですが、文章を聞いたうえで頭の中で文章を再現して作り上げて書く、という作業をすることで文章作成力が向上するのです。
時間があまりない方は一字一句すべて聞き取ったものを丁寧に書き下す必要はありません。明らかに分かっている字は雑に書いてもOKです。。
けれど、聞き漏らしは厳禁です。すべての文字を聞き取れたうえで飛ばす字は飛ばしましょう。
(ここでは2周までしか提案していませんが、時間が許せば音読をさらに2周、合計4周は目を通したいところです。
英語教育の権威、関正幸先生も同じ参考書を何周もやる事を進めていて、4周目から内容の定着度が急上昇すると述べています。
実際私も英語学習やその他重点的に記憶にとどめておきたい学習内容など騙されたつもりで4周はやってみるかと、やってみた結果、記憶の定着力が飛躍的に向上したのを実感しています。)
成语の部分だけは必ず4周やる!
上で述べたように、学習は同じ内容を4周やる事で飛躍的に記憶が定着します。
多くの方は仕事などで時間の制約もあるでしょうから、単語帳すべての内容を4周きっちりやる、というのは現実的ではありません。
そんな状況でも、「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター」と「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」を使おうという方は、成語の部分だけは4周必ずやる事をお勧めします。
「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」では一番最後のカテゴリー、「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター」では後半の「フレーズ」というカテゴリに成語の部分が掲載されています。
何故成語だけしっかりやる必要があるのか?
成語の意味を覚えると、HSK6級試験の阅读の部分で1問は即座に答えがわかる問題が出されるからです。
阅读の第2部分の単語穴埋め問題で必ず1問は成語を使った問題が出るので、成語の部分の空欄さえわかれば他の空欄の単語の意味がよくわかっていなくても合致する成語を選択して、はい終わり、と一瞬で解けます。
また、第3部分か第4部分のどちらかにも成語が絡んだ問題が出されることが多く、場合によっては3問分ボーナス問題となるのです。
成語の部分の学習は1周目は正直「こんな難しい熟語覚えて本当に役に立つの?」とか「聞いてても全く分からんわ」という状況になるでしょう。
しかし、それでも辛抱して3周目あたりになってくると、「あれ?意外とわかるぞ」となり、4周目になると「なんだ、想像したほど難しくないじゃん」となります。
「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」を例として挙げると、成語が108個収録されています。
成語の学習に費やす時間はだいたい1~2週間を見ておいてください。
1周目は例文中のわからない単語の意味を調べたりするので時間がかかり、3、4日程度に分けて時間を費やすことを想定しておきましょう。
1日あたり30個くらい目を通すことになり、かなりキツいですが1周目はとりあえず意味と発音を確認する程度で構いません。
2周目は2、3日に分けて復習します。
3周目となると覚えている内容が多くなってくるので1日で一気に目を通すことができるでしょう。
その流れで4周目をこなしてしまいます。意外と1、2週間で成語を見るだけで、または聞くだけで意味が思い浮かんでくるレベルには達することができます。
2週間で成語まわりの問題が確実に解けるようになるのならコストパフォーマンスは悪くないでしょう。
とにかく騙されたつもりでしっかり成語を4周やってみてください。間違いなく効果を実感できます。
この状態にもっていけば、定期的に通勤電車に乗っている時や歩いている時に聞き流すだけでも文章がわかるのでさらに記憶に定着するようになります。
タイプ別単語帳選びのまとめ
ここまで読んできて、大体ご自身に合う単語帳はどれだろうな、と見当が既につき始めていると思います。
ここで改めて学習タイプ別に各単語帳についてまとめます。
HSK6級初挑戦へ向けて勉強を始めるなら「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター」!
- 例文の長さが長すぎない!
- 例文が難し過ぎないので見出し単語に集中できる!
- 音声ファイルが使いやすい!
これらの特徴から「新HSK6級 必ず☆でる単スピードマスター」は途中で挫折せず継続学習しやすい単語帳なので、HSK5級に合格したばかりのレベルの人にオススメです!
HSK6級の単語について深く学びたい人は「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」!
- 解説がとても詳しい!
- 例文が長く難しいのでやり切れば听力6割得点までレベルアップできる!
- ポッドキャスト対応の音声!
この「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」の難しい例文をやり切ると、ある程度長文も読めるようになるので、じっくり腰を据えて学びたい人に向いています。
「1~2年単位でしっかり学んでやろう!」という方ならこの単語帳が向いているでしょう。
2冊目の単語帳に!「HSK6級 読む聴く覚える2500」~听力得点8割越えを目指す!
- 听力試験のリスニング力養成にぴったりな72個もの音声つき文章素材!
- もちろん長文読解力もつけられる!
- 文章内容とリンクして単語の意味を覚えやすい!
あえて「2冊目の単語帳」というレコメンドをさせていただきました、「HSK6級 読む聴く覚える2500」。
HSK5級合格直後でいきなりこの単語帳の文章に取り組むとわからない単語だらけでなかなかページが進まないかもしれないのです。
しかし、一通りHSK6級単語を目を通したレベルの人にとって、HSK6級の高得点を目指すのにはもってこいの単語帳です。
その段階になると、この単語帳を1日2個の文章を消化していくペースも無理がないのでサクッと終わらせることができます。
単語帳を使った学習の進捗チェックに「エビングハウスの忘却曲線チェック表」!
チェック表の概要
さてさて、お待たせいたしました。
単語帳の進捗チェックや復習タイミングのリマインドに便利なエビングハウスの忘却曲線チェック表をシェアいたします。
まずは下のリンクからチェック表のGoogleスプレッドシートを開き、ご自身のGoogleドライブに保存してみてください。
ファイルを開くと上の画像のようなスプレッドシートが開かれます。
注釈①の下部の各シートは単語帳ごとのチェックシートとなっています。
②はご自身でクリックして勉強完了のチェックとします。
③~⑤について。まず「実施日」には勉強を行った日付を入れてもいいですし、これからの勉強予定として最後の行まで予定日を埋めてもいいです。
実施日の列に日付を入れると、自動的に1、4、7、11、15、31日後の日付が右側に表示されるようになっています。
この日数は「エビングハウスの忘却曲線」で調べると出てくる日付というだけで、ご自身でカスタマイズしても結構です。
「~日後」の「~」の部分を半角数字で変えればその日数後の日付が表示されるようになっています。
アラート機能として学習日になるとそのセルが赤色になります。また、学習日あと1日に迫っているセルはオレンジ色になります。
終了した日付は緑色、当日以降は青色になります。
このあたりの設定はGoogleなどでスプレッドシートの使い方を検索して調べてみて、ご自身が使いやすいように自由にカスタマイズしてみて下さい。
活用時の注意点
うまく継続するコツは、「ゆとりを持った学習計画にする」です。
説明例として挙げた画像のパターンだと、日付の組み合わせで1日に4つやらなければいけないパターンになってます。
これだと確実に挫折します。
特に、「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」を使って勉強しようという方は、1日1カテゴリという計画でやろうと意気込みがちですが、そのパターンだと後できつくなります。
というのは途中途中で1カテゴリ20~30分もの音声ファイルの長さがあり、頑張って学習を終わらせたはいいが、復習に手が回らなくなる、というパターンに陥りがちです。
目安として「音声ファイルの長さ×3、4倍以上の時間」を学習時間としてみておくくらいのゆとりが必要です。
復習も見据えて、2日に1カテゴリなどのゆっくりペースに設定することをお勧めいたします。
あと、中国語入力モードにしていると犯しがちなミスですが、日付は半角英数モードで入力してくださいね。
私個人の使用談
私は「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」を主に使ってHSK6級の単語の勉強をしてきた、と述べました。
2019年の12月にHSK5級の試験が終わり、そこそこ手ごたえを感じ(結果232点)、結果が出る前に早々に、「さぁ次はHSK6級だ」と新たに6級向け単語帳を購入したのでした。
HSK4級合格からHSK5級合格までに費やした時間は1年くらいかかりました。仕事は中国語と全く関係しておらず、1日当たりに費やせる勉強時間は隙間時間の学習時間も併せて平均して1時間半~2時間くらいです。(今でもそれぐらい)
HSK6級も大体1年くらいですんなり7割くらい取れるかなと思っていたらその1年後に受けた試験の結果は190点。一応6割越えで旧基準だと合格扱いにはなってはいましたが・・・。
しかし、実際の中国語力はというと中国人と会話が続かないし、言ってることも分からない。
HSK6級の試験でも听力はどの問題も流れる音声の内容が正直あまりわからず、ところどころ聞き取れた単語が選択肢の文の中にあったから解答を選んだとか、そんなレベルでした。
その時点で「合格奪取! 新HSK6級 単語トレーニングブック」をどれだけやれていたかというとUNIT1の終わりの部分まで、大体前半の4割までしかやり切れていませんでした。
何故それしかできなかったかというと、とにかくHSK6級の単語量が多すぎ、単語帳の例文も難しく、時には学習がストレスに感じ、何度も挫折して継続できていなかったからです。
それからもちょくちょく単語帳を手に取り勉強したりもしていたのですが、相変わらず知らない単語が多すぎて聞き取ることができず、いったいいつになったら中国人と会話できるレベルになるのだろうと途方に暮れていました。
半年後の2020年6月に受けた試験ではなんと、1点点数が下がり、189点。まったく進歩していませんでした。それなりに音声を聞いたりしていたのに・・・。
当時急いでとりあえず単語帳最低でも1周は終わらせねば、と5/8に中盤部分(UNIT-15)から始め、なんとか6/4まで突貫工事で(UNIT4-4)まで苦闘し、雑にチェックしていたメモが残っていました。
結局のところ、1周しただけではまだ単語が記憶に定着しきれていなかっただけなのです。
(試験が終わってから6月末に再開してUNIT1の前半から手を付け直していますが、ちょくちょくさぼっていました)
その後2周目に入ったあたりから、少しずつ听力のレベルが上がっていることを実感し始めます。
「あれ?結構聞き取れているな」と。
もちろん単語帳の例文ですから、1文1文は短いので音声が流れ終わった後になんて言っていたのか反芻する時間がわずかにあることも影響しています。
ただ、少し自信にはなりましたし、HSK6級の听力の対策の為にはあとは音声が滝のように浴びせられる長文音声に慣れることが必要で、それさえできれば7割はいけるかもと思いました。
前回の試験から半年後に受けた試験では7割越えの211点、そしてさらに半年後はわずか5点のみアップの216点。なかなか語学力向上の道は甘くないですね。
それからコツコツ音声を聞き続け、長文音声トレーニング用として「HSK6級 読む聴く覚える2500」を買いました。
その頃には「HSK6級 読む聴く覚える2500」に出てくる単語は大部分が見たことある単語だったので、わからない単語、ピンインの確認の必要のある単語は付箋数枚分にメモすれば済む程度の量でした。
とりあえず全72文を聞き取りと音読を1周だけやりました。
そして挑んだ2022年12月のHSK6級の試験では240点とようやく8割を超えることができたのでした。
それからオンライン会話レッスンに力を入れ、そして今では中国人と会話できるレベルにも至っています。
そしてようやく「中国語を勉強していて楽しい!」と思えるようになっています。
ここで申し上げたいのは、HSK6級の壁は非常に高く、要求される単語量も膨大ですが、時間をかけてやれば必ず聞き取れるようになる日が来るということ。
皆さんもいずれ中国人と普通に会話している自分になれる日が必ず来ます。語学は持久系のスポーツと一緒です。コツコツやれば絶対に成果となって現れます。
フルマラソンに参加を決め、トレーニングのし始めは42kmなんて膨大な距離を走れるわけない、と思い込みがちですが、だれしもトレーニングを続ければ1,2年で完走できてしまうのです。