簡体字中国語学習者、台湾華語を学ぶ
私事でございますが、2025年9月の下旬に台湾の高雄へ旅行へ行く予定です。2度目の台湾南部旅行です。

中国語学習者ならほとんどの方がご存じ、台湾で使われている中国語と大陸で使われている中国語には異なる点がいくつかあります。
一番の違いといえば大陸では簡体字が使われているのに対して、台湾では繁体字が用いられていることでしょう。
そんなわけで、台湾旅行に備えてざっと台湾華語を見直しているところであります。
日本国内での繁体字のイメージで言うと、例えば読売新聞の紙媒体の題字は繁体字で「讀賣新聞」ですし、大学名には「慶應義塾大學」のように繁体字が用いられたりします。なんか威厳を感じる字体ですよね。(というか厳密には繁体字ではなく旧字体なんですが。)
参考までに私のこれまでの中国語圏+中華系が多い地域への旅行歴を示しますと以下のようになります。
中華系の地域への旅行歴
2013.5 台北
2015.3 台北 、台中(ランタンフェスティバル)
2013.9 マレーシア
2017.7 台北
2017.12 台北
2018.4 台北、新竹(峨眉茶行探訪)
2018.5 台北
—————中国語学習開始—————
2018.9 高雄、台南
2019.5 台中、台北(明星山登山)
2019.6 上海
2018年6月に中国語の勉強を始めたとはいえ、2019年に台中、上海に行った時も中国語はほとんど聞き取れませんでしたし、食事を頼むときの”青岛,冰的「青岛ビール、冷たいの」“(または“来一瓶啤酒,冰的”「ビール、冷たいの」)だけしっかり覚え、それ以外は単語を並べるだけというレベル。
要するに全くと言っていいほど話せませんでした。
コロナの影響もあって海外旅行自体7年ぶりとなり、今回主にオンライン中国語レッスン【CCレッスン】
を通じて中国語をある程度話せるようになってから初めての中華圏への旅行となります。
現地の台湾人との意思疎通もそれなりにできるだろうと想定され、より密度の濃い台湾旅行ができるであろうことは疑いなく、個人的にとても楽しみにしています。
それで余談なんですが、私がまだ中国語を勉強していなかったころ、友人と台北に旅行に行って街の看板の「蛋糕(ケーキやカステラの意)」という文字を見て、意味が全く分からずなんとなく字面のイメージがから「うわっ、なんだろあの店。ギョウ虫検査でもやっているんじゃねーの(笑)?」なんてふざけたこと言っていた記憶があります。
そんなわけでこの記事のアイキャッチ画像にふざけたイラストを用いたのでした。よく考えると「蛋糕」って簡体字も繁体字も同じなので、「繁体字中国語」をテーマにしているこの記事の趣旨にまったく沿わないんですどね(汗)。
参考として今現在(2025年8月時点)の私の中国語レベルをまとめますと以下のようになります。
・HSK6級8割得点合格(2022.12 240点/300点)
・中国語検定準一級合格(2025.1)
・CCレッスン 総レッスン回数:1056回 (440時間)
・中国人とは中国語である程度会話ができるレベル
この記事では簡体字を使って大陸の中国人から中国語を学んだ学習者が改めて繁体字の台湾華語を学んでみて、普通話と台湾華語の相違点について押さえておくべきと思ったポイントなどを記していきます。
大陸の標準中国語「普通話」と台湾で使われている中国語「台湾華語」の主な違い
このセクションは中国語学習者ならば「そんなこととっくに知っているよ」という基本的な内容で、ネットで検索すればすぐに調べられる内容ばかりです。
今更確認する必要もないな、という方は読み飛ばしていただければと。
まずは手っ取り早くAI(ChatGPT、Genminiなど)に違いをまとめてもらい、多少加筆修正を加えた内容を示します。
(いわゆるハルシネーションてやつで、生成AIでも適当にネットから情報を集めて引用してきて意味をなさない回答なども含まれていましたので、やはり人の目によるチェックが必要でした)
AIの回答に加え私自身が「普通話」と「台湾華語」にこれまで触れてきた中で気が付いたことも補足します。
ChatGPT、Genminiに訊いた「普通話」と「台湾華語」の違い
引用を示すグレーの部分がAIの解答を修正を加えてコピーペーストした部分です。それ以外は私が加筆した部分です。
文字(漢字の違い)
大陸(普通話):簡体字(简体字)を使用。
「学习」(学ぶ)
「电话」(電話)
台湾(華語):繁体字(正体字)を使用。
「學習」
「電話」
これはもうほぼ常識レベルの内容ですね。中国語学習者でなくとも知っている人は多いと思います。
発音(声調・韻母の違い)
※韻母(いんぼ)とは、中国語の音節の構成要素の一つ。1音節内で声母(頭子音)の後に続き、声調を除いた母音を中心とした部分をいう(声調も韻母に含める場合がある)。
↓下の例で例えば「zhi」から「i」の母音を除いた部分「zh」が韻母です。
基本の声調体系は同じだが、一部の発音に違いがある。
大陸: 「zh」「ch」「sh」 を強く発音。
台湾:より柔らかく、「z」「c」「s」に近い発音になることが多い。
大陸: 「知道」” zhīdào“ → 台湾では”zīdào”に近い響き。
また「儿化音(érhuàyīn)」の有無が大きな違い。
大陸:よく使う → 「这儿、那儿、玩儿」
台湾:ほぼ使わない → 「這裡、那裡、玩」
この「zh」「ch」「sh」 の発音の違いなどは、大陸の中国語の音声で勉強してきたり、大陸の中国人相手に会話の練習した学習者にとって結構やっかいな違いなんです。
例えば私が台湾華語の勉強でよく視聴させていただいているSho Channelで「iPhone14」と発音されている箇所があるのですが、台湾人の発音だと14は“sísì”に聞こえてしまうんですよね。
大陸の中国語の発音で勉強した学習者にとって、台湾人と会話していても基本的に会話は成り立ちます。しかし台湾人の発音は「一部の単語、はっきり発音してくれないな」、「なんとなくごにょごにょしゃべる人が多いな」、という印象を持ってしまいます。
結構聴き取りにくいんですよ。英語で言うと北米の発音とブリティッシュの発音くらいの違いがあるイメージ…と言ったら言い過ぎか?
それでこの台湾人のごにょごにょ発音、実は台湾人同士でも聞き取りにくいらしいです(笑)
私が台湾の発音に慣れるために活用させていただいている以下のYouTubeチャンネルのコンテンツでも面白いコメントがあります。
この動画のとある台湾人のコメントで、
@sherryhsieh8046
4 か月前
台湾人だけど、やっぱり字幕が必要ですね www
それに対する別の台湾人のコメントでも
@Eliteponmikop
4 か月前
我們講話常常不把嘴打開 全部黏在一起
不仔細聽真的常常要回人家「蛤?」😂
(「私たちは話すとき、口をあまり開けずに言葉が全部くっついてしまうんです。ちゃんと注意して聞かないと、本当にしょっちゅう相手に『えっ?』って聞き返すことになります。」)
と、台湾人の話し方の特徴として「発音がつながりやすく、聞き取りにくい」ということを自虐的に表現しています。
例えば、”等一下”というフレーズ。
大陸の中国人だとカタカナで発音表記するならば「ドンイーシャ」のような感じでしょう。これが台湾人の発音だと「ドンィャ」みたいな発音になるんです。
あと中華系のYouTuberの出だしの挨拶で“大家好!”なんて言うときも、大陸の中国人なら「ダジャハォ」ていう発音になるところ、台湾人だと早口でごにょっと「ダャハォ」と発音することが多いですね。
他に台湾人と話していたり、ドラマを見ているときなどによく気が付く発音の違いとしては
东西(dōng xi)と東西(dōng xī)、没关系(měi guān xi)と沒關係(měi guān xī)でしょうか。
台湾人は上記の語句のxiを軽声ではなくxīのように一声で発音しますね。カタカナで表すと「メイグワンシー」のように最後が伸びるのが特徴的です。
声調が異なる語の例としては
除夕 (普通話 chúxī)→ (台湾 chúxì)
また他に発音が大きく異なる代表的な語として
熟 (普通話 shú)→ (台湾 shoú)
垃圾(普通話 lā jī) → (台湾 lè sè)
和(普通話 hé) → (台湾 hàn)
特にこの「和」は中国語学習者ならご存じ、めっちゃくちゃ会話の中で使う語ですから、台湾人との会話では、慣れるまでは突如出現する(hàn)で「ん?何言ってるんだ?」と引っかかってしまい、その語の会話まで聴きとれなくなるってことがよくあります。
ただ、この和(hàn)ですが、すべての台湾人が(hàn)と発音しているわけではなく、大陸同様(hé)と発音する人も多くいます。
以下のショート動画でもいくつか普通話と台湾華語で発音が異なる単語を紹介してくれています。
語彙の違い
同じ意味でも使う単語が違うことが多いです。
例:「自転車」
普通話:自行车 (zìxíngchē)
台湾華語:腳踏車 (jiǎotàchē)
例:「ジャガイモ」
普通話:土豆 (tǔdòu)
台湾華語:馬鈴薯 (mǎlíngshǔ)
例:「バス」
普通話:公交车 (gōngjiāochē)
台湾華語:公車 (gōngchē)
他に、「タクシー」の意味の単語では
普通話:出租车(chū zū chē)
台湾華語:計程車(jì chéng chē)
のような違いもあります。
また普通話で「本場の」「正真正銘の」という意味の“地道(dìdao)”は台湾では“道地 (dàodì)”が使われています。
この手の単語の違いはまだまだいっぱいあって、会話の中で突然台湾人から聞いたことのない単語が発せられて???となってしまうことが結構ありました。
それで、大陸で使われている単語を台湾人との会話で使うとどうなるかというと、台湾人は大陸の中国語大体理解しているようなのです。
大陸のテレビ番組やドラマ、それからネット動画を見る機会もきっと多いのでしょう、自然と頭に入っているみたいです。
でも台湾ではなるべく台湾で使われている単語を使いたいものですよね。
文法の違い(軽微)
大きな文法の差は少ないが、助詞や語順にちょっと違いがある。
大陸:用「在」多 → 「你在干什么?」
台湾:用「在」少し控えめ → 「你做什麼?」
否定形でも違いが出る場合がある。
大陸:「不用、不需要」
台湾:「不用、不必」などをよく使う。
この違いについては私は実はあまり気づいていません。「普通話」と「台湾華語」を聞き比べたり、読んだりする経験がまだまだ浅いので。
言い回しの違いで思いつくことと言えば、例えば「ありがとう」といわれた場合の返しで、「普通話」では”不客气”“不用谢”なんかが使われますが、台湾の人は“不會,不會”(不会,不会)とよく言いますね。
イントネーション・言い回し
大陸:はっきりとした発音で、やや硬い感じ。
台湾:柔らかいイントネーションで、語尾に「啊」「啦」「嘛」などの助詞を多用。
例:
大陸:「我不知道。」
台湾:「我不知道啦。」
これらの中国語の語気助詞も我々中国語学習者が苦手とするところ。はっきり言って私も未だに語感やその意味合いが完全には理解しきれていません。
他に台湾人がよく使いものとして“耶 (yě)”、“餒/內 (něi)”などがあります。 “耶 (yě)”は(ě)のように発音して直前の音とくっつくように発音しているのをよく聞きます。
どちらとも正直語感がよくわかってはいないのですが、台湾人の話だと響きを可愛くする感じ、だそうです。
実際この二つの語気助詞が末尾についてフレーズが発せられると日本語の「~ね」のように聞こえてすごく親しみのある響きになります。
例えば、“那很近耶!“は、末尾がまさしく日本語の「~ね」に近い音に聞こえ、「なら近いですねぇ!」といったニュアンスになります。
発音記号
普通話: アルファベットを使った「拼音(ピンイン)」が主流です。
台湾華語: 台湾独自の表音文字「注音符号(ボポモフォ)」が主に使用されます。
以上が「普通話」と「台湾華語」のおおまかな違いとなります。
「台湾語」と勘違いしている人の多い「台湾華語」
「台湾語」、これを「台湾華語」の意味で使っている人をYoutube動画などで実に多く見かけます。
台湾旅行に行って台湾が好きになって、
「あ~、俺も台湾語勉強して現地の人とコミュケーション取れるようになりたいな~」
とか言っている人。
この発言を聞くたびに「お、、おぅ、すごいなあんた…」という感想を抱きます。
台湾語は中国語で”台語(tái yǔ)“(台湾語の発音記号だと(Tâi-gí))で、「台湾華語」とは別物で、「台湾閩南語(Táiwān Mǐnnán yǔ)」の略称として使われることが多いです。
中国福建省南部から移住した人々が持ち込んだ閩南語をルーツとする言語です。
なので「台語」は「台湾華語」とは全く別物ですし、当然「普通話」との共通点なんかもあまりありません。
中高年層を中心に日常生活で広く使われていますので、件の「台湾語勉強したい」発言の人の真意は分かりませんが、教材も少ない台湾語を意欲的に学ぼうとするなんてすごいな、と思っちゃうのです(笑)。
まぁこのうちほぼ99%の人が「台湾華語」と「台湾語」を混同しているだけなのでしょうけれど。
「台湾華語」と「普通話」で字体の大きく違う単語をピックアップ
さぁ基本的な「台湾華語」の定義のおさらいはここまでとして、ここからは私が台湾旅行に向けて短期間ではありますが、「台湾華語」をサクッと学ぶ際に使用した教材と、それにともない簡体字中国語学習者が特に押さえておくべきだろうと思える繁体字中国語単語などをピックアップして紹介していきます。
今回まずは簡体字と繁体字で字体が大きく異なる字をピックアップすることから手を付けました。
今までも時折繁体字で書かれた文章を読んだりしていましたが、大体は簡体字と似ているので読めるには読めるのですが、一部大きく字体が異なって「ん?なんだこの字は」ってのに出くわしてちょくちょくつっかえてしまうことがありました。
それで、その字を調べてみると結構な割合で中国語学習の割と初期段階に学ぶような単語が、繁体字ではまったく異なる字体だったとわかった、という事は少なくありませんでした。
そこで、ここでは割と基本的な単語であるにもかかわらず簡体字と繁体字で字体が異なるものに絞ってピックアップしていきたいと思います。あまりマニアックなものを挙げて覚えようとしても効率が悪いですからね。
これらの漢字を押さえているだけで、だいぶ繁体字の文章も読めるようになりますよ。
「台湾華語はじめの1000、つぎへの1400、さらなる2700」シリーズ(アスク出版)で単語チェック
今回のピックアップ作業に活用したのが以下の単語帳となります。
台湾華語単語帳シリーズの新定番ともいえる、「台湾華語はじめの1000」、「台湾華語つぎへの1400」、「台湾華語さらなる2700」。
ご覧のように繁体字と簡体字で字体が大きく異なる単語には簡体字が付記されていますのでチェックがしやすくなっています。
後ほど台湾華語学習向け書籍の紹介で改めてこの単語帳については触れます。詳細についてはそちらをご参照ください。
簡体字で中国語を勉強して、ある程度中国語をマスターした学習者として今回どのように単語帳を活用したのか。
利用方法としては細かい例文などはほとんどチェックしません。最初のページからパラパラページをめくり、ザーッと単語に目を通していきます。1冊あたり2,3日で十分かもしれません。
すると、「繁体字でもけっこう簡体字に似た字体の単語があるんだな」とか「これぱっと見で簡体字のあの単語と大体同じじゃん」というのがかなり多いことに気付くと思います。
そもそもが同じ言語ですので当たり前といえば当たり前なんですけどね。
私の個人的な雑感だと九割がたぱっと見で対照する簡体字の単語が何であるか掴めました。
ただ、残りの1割の中には「え?これが簡略化される前の漢字だったの?」と驚くくらい繁体字と簡体字で違いのある字もあります。
そういった漢字のみをピックアップしてメモを取り一覧にして注意すべき繁体字のようにリストを作っておくのが一つの勉強法でしょう。
簡体字中国語学習者が知っておくべき字体がかなり違う繁体字単語
そんなわけで上述した単語帳から押さえておくべき繁体字をピックアップしてみました。
ここに挙げた基本漢字を押さえておけば、普通話をある程度学習した人ならば繁体字の文章も読めると思います。
以下に挙げる漢字の中には中国語の基本のキ、というレベルの単語にも関わらず字体がかなり異なるために、繁体字の文章を読んでいてつっかえてしまい意味が読み取れない、なんてことを招いてしまう漢字もあります。
紛らわしいシリーズ① 書 畫 劃 盡
まず、ぱっと見とりあえず「書」は日本語の「書く」と同じ字だから問題ないでしょう。“书”
に当たる字です。ただし基本的な意味は「本」という意味で使われることが多いのは“书”と同じなので注意してください。
残す3つは何の字なのよ?って話です。
「簡体字はミミズの這ったような字だ」と繁体字圏の人々からは中国嫌いも相まって簡体字は毛嫌いされますが、これらの字に限っては却って判別しやすいのでこれはこれで簡体字もいいじゃないかと見直しました(笑)
畫(hùa 画)
絵を描く、は“畫畫”(画画)となります。
劃(hùa/húa 划)
計画の意味の“計劃”(计划)に使われる字ですね。
盡(jìn/jǐn 尽)
應有盡有(应有尽有)、 盡快( 尽快)など。
盡快は儘快とも。
「台湾華語さらなる2700」の2610番に盡快と儘快が掲載されていて、「jìnkuài」「jǐnkuài」どちらで発音しても良い、と書かれていました。
普通話の尽快の発音は「jǐn kuài」となっていますが台湾華語独自のルール?
尽管に関しては“儘管”のみで“盡”は使われません。
紛らわしいシリーズ② 實 寶
實(shí 实)
”“事實上” (事实上)の“實”です。
寶(bǎo 宝)
“寶貴”(宝贵)の“寶”です。
その他簡体字と繁体字で字体がかなり違う字
さて、一番ややこしいのを最初に持ってきましたが以降はややこしさは無く、単に簡体字と繁体字で字体が結構違いますよ、というのを示していきます。
超基本の重要漢字
基本的超頻出重要漢字をピックアップしていきます。既に簡体字で単語をある程度学習済みという前提で意味や解説は一部にしか添えていません。
またピンインも添えませんのであしからず。
這(这)
個(个)
幾(几)
會(会)
沒(没)
邊(边)旧字体の人名の渡辺さんは「渡邊」さんですね。
裡(里)
對(对)
離(离)
關(关)
與(与)
於(于)
卻(却)
數(数)
雙(双)台北に雙連という駅があるのでこれは知っているよ、という方が多いかもしれませんね。
隻(只)量詞の方です。
舊(旧)
體(体)
兒(儿)
壞(坏)
鬆(松)台湾の有名なジュース「黒松沙士」はなぜか「松」が使われていますね。シップの味がするという台湾コーラ。
台湾旅行時に押さえておきたい繁体字
今回旅行に備えるという観点でも台湾華語をチェックしましたのでいくつかそれらをピックアップ。
護照(护照)
吸菸(吸烟)
處(处)
老闆(老板)
醫院(医院)
餐廳(餐厅)
圖書館(图书馆)日本語の図書館が頭に入っていれば問題ないですね。
號碼(号码)
雞(鸡)
豬(猪)イノシシと混同しがち。
蘋果(苹果)
薑汁(姜汁)
當(当)駅弁でよく使われる「便當」など 。
鹽(盐)塩です。高雄には駁二藝術特區という場所があってその最寄りの駅の名前「鹽埕埔」にこの漢字が使われています。
鹹(咸)
鑰匙(钥匙)今はホテルでは“房卡”を使うのであまりこの言葉は使わないかもしれませんね。ホテルのレンタルサイクルの鍵を借りる時くらい?
團隊(团队)
團體(团体)
櫃檯(柜台)
塑膠袋 sùjiāodài(塑料袋 sùliàodài)※台湾では塑膠袋が使われる
その他の字体の大きく異なる単語
以下は割と文章中によく出てきそうな単語をピックアップしたものです。
工廠(工厂)
廣告(广告)旧字体の人名の広田さんは「廣田」さんと書きますね。
偶爾(偶尔)
壓力(压力)
稱為(称为)
豐富(丰富)
潮濕(潮湿)
寫作(写作)
刮鬍子(刮胡子)
應當(应当)
斌且(并且)
勸(劝)
餵(喂)
範圍(范围)
圍繞(围绕)
圍は単独で出てきたら読めないかもしれないな、という事でピックアップ。ただ「くにがまえ」の部首の中の文字を見るとweiと発音する漢字によく出てくる部首だな、と気づけば覚えやすいでしょう。
幸虧 (幸亏)
總共(总共)
遲早(迟早)
僅(仅)
顯然(显然)
憑(凭)
亂(乱) 亂七八糟の亂ですね。
多餘(多余)
拉鏈(拉链)ファスナー
證據(证据)簡体字の方が日本の漢字寄りですね。“根據”(根据)の“據”も“据”の繁体字が使われています。
対照する繁体字を知ることによって発音の由来がわかるものがある?
今回改めて簡体字と繁体字をざっと対照させてチェックして新たな発見がありました。それは簡体字中国語単語の発音の由来のようなものがいくつか判明した、という事です。
何のことかわかりやすいように例を挙げましょう。
簡体字の“柜台”、この発音は“gùitái”ですね。
でもこの“柜”の字の部首には“巨”が入っていて、“巨”は“jù”と発音するし、“距离”の“距”だって“jù”と発音するから、長く中国語を学んでいる人からすると、“ju”の系統の発音になりそうだけどなぁと思ってしまうのです。
しかし、“柜”の元になった繁体字は“櫃”この部首の中で“貴”が使われているんですよ。そうです、これがもとになって“gui”の音になっているんですよね。
また、簡体化のルールにもある法則があるんじゃないかとも思えてきました。そのうちの一つが私の勝手な推測なのですが、それは似た発音の字を一部使うのではないか、というもの。
蘋果→苹果を例に挙げると、蘋では頻が使われていてこの発音は“pín”。簡体字の苹には平が使われていてこの発音は“píng”のように?
どうでしょう?これ意外と信ぴょう性ありそうじゃないですか?
簡体字⇔繁体字対照チェックに使える辞書アプリ、Webサイト
辞書アプリなら断然「Pleco」
以前にも紹介したことがありますが、Plecoというスマートフォンの辞書アプリ。
これ簡体字と繁体字を両方学習している人の強い味方です。
意味や文法の説明は英語ですが、簡体字と繁体字の対照チェックのみを目的として使うことに限定してもかなり便利なアプリです。
レスポンスも軽快で使っていてストレスも感じませんよ。

中国語辞典「萌典」の「兩岸詞典」で大陸の中国語との違いをチェック
オードリー・タン氏が開発にかかわったオンラインの中国語辞典「萌典」。詳しくは以下のリンク先の記事を参照ください。
台湾の中国語辞典『萌典』に「日本語が入らなかった」ワケ( ゴールドオンライン)
それで、この「萌典」の名称の由来については上記の記事に以下のような記述がありました。
教育部は英語でMinistry of Education ですから、略称は「MOE」です。そのMOEに日本語の「萌え」という単語を絡めました。
この「萌典」の「兩岸詞典」で大陸の中国語との違いを確認できます。左上のメニューから「兩岸詞典」を選び単語を検索します。

例えば、簡体字で“幸亏”(xìngkuī)を検索すると、以下のように繁体字の”幸虧“がボポモフォ(注音)の振り仮名と共に表示され、「简」の記号の後ろに簡体字表記の“幸亏”が記されています。(これは単に簡体字表記するとこうですよ、というだけのようです。台湾と大陸とで単語が異なる言葉でもこの場所には簡体字表記の文字が機械的に表示されます。)

辞典サイトですので当然意味(繁体字中国語)も表示されますし、さらに例文と英語、フランス語、ドイツ語の意味も表示されます。
台湾独自の単語の場合は「臺 」の記号が表示されます。
例えばタクシーの意味の単語は台湾では”計程車(jìchéngchē)“ですが、これを「兩岸詞典」で調べてみると以下のような検索結果が出てきます。

この中で「臺 」の記号の後ろに「小黄」と記されていますね。
これ台湾でしか通じない単語なんですよね。ちなみに先ほど紹介したPlecoで「小黄」を検索すると、(TW)と表記され、これは台湾独自の単語だということを表しています。

「陸」という記号は中国大陸独自の言い方を表し、”的士(díshì)“も記されています。
大陸の言い方として「タクシーで」は”打的dǎdí”で「タクシーで行こうよ。」と言うときに、“我们打的去吧!“なんて言い方もできますね。(“我们打车去吧!”も同じ意味ですね)
「華語詞典」では、閩南語(びんなんご、ミンナンご)、客家語(はっかご)なども表示される
「萌典」のサイトを開くとデフォルトで表示されるのが「華語詞典」で、この辞典で単語を検索すると「閩」と「客」の記号も出てきて閩南語、客家語の対照する単語が表示されます。

まぁこれはマニアックなので興味のある方だけこの機能を活用してみてください。
ちなみに「萌典」にはスマートフォンアプリ版もあるのですが、私の環境では表示が崩れるなどのバグがあったり、レスポンスが遅いなどの現象があって使っていません。iPhone11で少しスペックが低いからなのか?

その他、よりマニアックに簡体字⇔繁体字対照チェックをしたい方におススメのWebサイト
超マニアックですが、台湾の繁体字、大陸の簡体字、日本の漢字の対照表を参照できるサイトです。
以下は日本語の漢字と簡体字の対照表をを参照できるサイトです。
簡体字対照リスト(あいうえお順) – 産業用インクジェットプリンターの紀州技研工業
台湾華語学習に使った学習書
さて、ここからは最初に述べたように台湾旅行に向け今回台湾華語をざっとチェックした際に用いた学習書を紹介していきます。単語帳についても改めて詳細をここで紹介いたします。
「旅する台湾華語 台灣好好玩!」(IBCパブリッシング)
私の今回の台湾華語学習のメインの目的が旅行に使う台湾華語を学ぶ、ですのでまずはこの本を選びました。
出版社の本書の紹介の一部を引用すると、
本書では、台湾旅行を9つのシチュエーションに分け、それぞれのシーンで想定される台湾人との会話を通じて台湾華語を学びます。 飛行機の機内アナウンスからはじまり、観光に出かけ、街歩きや買い物・食事を楽しんだ後、台湾人と仲良くおしゃべりを楽しむ…というように、実際に旅の気分を味わいながら学習できる構成になっています。
この9つのシーンの構成は
1-1 飛行機の機内
1-2 空港
2-1 MRT(地下鉄)に乗る
2-2 鉄道に乗る
2-3 バスに乗る
2-4 タクシーに乗る
3-1 ホテルへのチェックイン
3-2 ホテルへのリクエスト
3-3チェックアウト
4-1 道を聞く
4-2 場所を聞く
5-1 観光名所にて
5-2 お寺を訪ねる
6-1レストランにて
6-2 食べ歩き
7-1 お土産を買う
7-2 好きなものを探す
8-1 リラックス(足つぼマッサージ)
8-2 エステサロン
9-1 自己紹介
9-2 台湾のことを聞く
9-3 病院に行く
のようになっています。
台北を舞台にしたシーンが多く使われていて、台北の駅名や地名が結構出てきますのでこれから台北旅行を計画している方にとってはより実用的な内容となっています。
各シーンで使われているフレーズは旅行の時に押さえておくべき内容が最低限カバーされているので、収録されている単語を覚えて聴きとれるようにしておけば多少相手方の話すフレーズに変化があったとしても大体の内容を理解できるようにはなるでしょう。
音声は当然台湾人の読み上げ音声となっています。特に男性の声の担当の方は「ザ・台湾人」という発音で、台湾人の発音に慣れるのにはもってこいです。
音声は付属CDのみ。ダウンロードサービスは提供されていないようです。
それでこの音声、前半の数回は読み手が慣れていないのか、緊張しているのかどうも長いフレーズで息が続かなくなっているような読み方の部分がありました。聞いているこっちがちょっと息苦しくなります(笑)
ただしシーン2以降からは読み手の方が慣れてきたのかしっかりと落ち着いた音声となっています。
各ページの構成はご覧のようにピンイン振り仮名付きのアナウンス文または会話ダイアログとその日本語訳が並べられています。

各シーンの末尾には用語一覧なんかが掲載されていてシーン別の語彙の学習に便利です。

他にコラムなども差し込まれていて、台湾旅行に役立つ内容が書かれています。2018年出版なので多少情報は古くなっていますが。
一つ一つのシーンの音声をしっかり聴き込んでいくと、上の方のセクションで述べた台湾華語と普通話の発音の違いに結構気づきます。
たとえば先に述べた、
和の”hé“と”hàn“の発音の違い、
だけでなく
危険”wēixián“と危險”wéixián“の違いや、日期の”rìqī“と”rìqí“、航班訊息の息の”xī“と”xí“なども音声を聴いていると「あれ?、なんか普通話と発音違うな」と気づく箇所がところどころ出てきます。
「おいしい台湾華語 好吃! 台灣」(IBCパブリッシング)
上記で紹介した「旅する台湾華語 台灣好好玩!」と同じくIBCパブリッシングの台湾旅行会話向け台湾華語学習書シリーズの「おいしい台湾華語 好吃! 台灣」。
こちらも同様に音声は台湾人の読み上げ音声となっています。音声は付属CDのみでダウンロードサービスは提供されていない。
こちらの方の音声はだいぶ普通話寄りの標準的な発音になってました。
実はこちらが第1弾なんですね。出版されたのは2017年7月6日。「旅する台湾華語 台灣好好玩!」は2018年6月9日でした。
「旅する台湾華語 台灣好好玩!」の方がより活用範囲の広い動詞などを覚えられるので先に紹介しました。
「おいしい台湾華語 好吃! 台灣」の方は当然レストランや夜市でのやり取りの会話が中心となりますが、それに加えて料理名を大量に暗記することも求められます。
ただ、ぶっちゃけたことを言うとレストランや夜市では注文する時に”我要這個“で乗り切ろうと思えば乗り切れます。
とはいえ台湾では日本と違ってメニューに料理写真を用いずに、料理名の漢字の羅列だけという店も多いので、料理名を覚えて、どういった食材を使った料理なのかわかるようになればより旅行も楽しくなりますよね。
私は今必死こいて料理名を暗記しているところです(汗)

「おいしい台湾華語 好吃! 台灣」では「旅する台湾華語 台灣好好玩!」と違って巻頭カラー写真がふんだんに使われていて、眺めているだけでテンションが上がり勉強のモチベーションをあげてくれます。

出版社の本書の紹介文を引用すると、
「食」をテーマに学ぶ、すぐに使える台湾華語
海外旅行先でその国ならではの料理を楽しむことは、観光名所巡りと同じくらい楽しいもの。食は異国の文化を堪能するうえで欠かす事はできません。台湾は CNN のアンケートで「グルメの旅をすべき国」ランキングで世界1位!もちろん日本人にも大人気。本書では、そんな台湾のレストランや屋台、さらにはショッピングなどをテーマに、台湾に着いたらすぐに使える実用会話を楽しく学ぶことができます。CDつきだから、音声を聞いてすぐに使えます。台湾旅行を存分に楽しむための学習書。
5つのシチュエーションと2つのテーマからなる構成で、それぞれ
1 レストランにて
2 食べ歩き
3 食卓の会話
4 ショッピング
5 歳時の食事
6 台湾各地の名産
7 台湾料理のレシピ
となっています。
各ページの構成は店員や夜市の店主との会話ダイアログが中心となっていて、使われている動詞形容詞などはそれほど難しいものは出てきません。
なんといってもこの本の活用の肝は「料理名の暗記」これに尽きますね。もうほんっとに膨大です(笑)
でもこれをあえて修行のつもりでがっつり暗記して台湾に降り立ち、町中の看板の料理名を目にして一目でわかるレベルまで達したときの視界はどう変わるのだろうか・・・そんなマゾ趣向を掻き立てられるのが本書です。
ちなみにIBCパブリッシングは同シリーズとして他に「恋する台湾華語 談談戀愛在台灣」なんてのも出しています。
台湾ドラマのワンシーンを会話ダイアログとして取りあげ、恋の感情を表現するフレーズが学べます。全部で28シーンを取りあげています。
以下は目次の一部分の見開きページです。台湾ドラマが好きな人は楽しみながら台湾華語が学べるでしょう。

台湾華語で基本から中国語を学びたい人向けの本
以下で紹介する学習書は、旅行向けの台湾華語学習書ではなく、以前少し読んだりして、今回はパラパラと眺めた程度のものです。私の場合は既に文法はある程度修了済みですので。
普通話を使う予定が無く(大陸で中国語を今後使う予定が無い)、台湾でのみ中国語(台湾華語)を使用するという方は当然最初っから台湾華語で中国語を学ぶべきで、そんな方におススメの学習書を紹介していきます。
イチオシ「単語と文法から学ぶ PAPAGO式 台湾華語」シリーズ
SNSなどを眺めていると台湾華語学習者はほぼ皆といっていいほどこのシリーズで勉強していますね。
各文法の例文は程よい分量でありつつ、一通りのパターンが網羅されているのがGoodな点。

また学習者が犯しがちな誤用も載せてあるので正しい文法を学びやすくなっています。

また似た意味の動詞もイラストを用いて違いを理解しやすくしてくれています。(p112)

音声はダウンロードとAppleのPodcast、Spotifyで聴くことができるようになっています。
音声は聴き取りやすいクリアな発声で、速度もそれほど速くはないので初中級学習者にピッタリのレベル。
紙の書籍版とKindleなどの電子書籍版の両方で購入可能です。
Amazonなどの商品ページには最初の数ページのサンプルが閲覧できるようになっていますので、是非チェックして見て下さい。
「基礎から学ぶ 実用台湾華語 初級」(IBCパブリッシング)
台湾で語学留学経験がある方ならおなじみのテキスト、「當代中文課程」の1の英語解説部分を日本語版にした内容の学習書です。
Amazonなどの商品ページのサンプルで2ページ目から7ページ目まで公開されていますが、當代中文課程1と見比べるとほんとそのまんま日本語訳にしているテキストのようです。

それで「初級」と名が付いていますが、ある程度台湾華語の基本単語、基本文法を身に着けてからではないと難しいレベルでしょう。
普通話でいうと、HSK3~4級レベル向けの内容に感じます。
台湾で使われている「當代中文課程」は会話ダイアログが豊富であるものの、解説や出題指示文がすべて英語で書かれているので英語ができない方にとっては、英語で台湾華語を学ぶというのはちょっと無理がありますね。
他のメジャーな台湾華語学習テキストの「實用視聽華語」も「當代中文課程」同様解説や出題指示文がすべて英語となっています。
これから台湾へ語学留学を考えている方は、台湾華語を学ぶテキストは英語の解説がスタンダードですので、英語に不安がある方は留学前にこの「基礎から学ぶ 実用台湾華語 初級」を購入し、台湾に持って行った方が良いでしょうね。
サクッと台湾華語の単語の総おさらいに最適、「台湾華語はじめの1000、つぎへの1400、さらなる2700」シリーズ(アスク出版)

繰り返しとなりますが、台湾華語単語帳シリーズの新定番ともいえる、「台湾華語はじめの1000」、「台湾華語つぎへの1400」、「台湾華語さらなる2700」。
これらの書籍名称の末尾に付されている数字は、各書籍に収録されている台湾華語単語数を表しています。
レベルは「はじめの1000」→「つぎへの1400」→「さらなる2700」の順に上がっていきます。
簡体字版の単語帳で似たような収録数のもので言うとアスク出版のHSK試験向けの単語帳「単語トレーニングブック」などが挙げられるでしょう。

「単語トレーニングブック」各級の収録単語数を整理すると
HSK1~4級 1200語
HSK5級 1300語
HSK6級 2500語
となり今回取り上げる台湾華語単語帳三冊の区分分けに近いものがあります。
ざっと中身を見た感じでも大体レベルは
はじめの1000→HSK1~4級
つぎへの1400→HSK5級
さらなる2700→HSK6級
のように対照していましたので、簡体字学習者の方でもこの台湾華語単語帳のレベル感がざっくりつかめるのではないでしょうか。
それでHSK6級のトレーニングブックも同様でしたが、「台湾華語さらなる2700」は分厚いですよぉ…。

一応各シリーズにはTOCFLという台湾華語の検定試験「Test Of China as a Foreign Language(華語文能力測験)」に準拠したレベルが記されていて、それぞれ
はじめの1000→TOCFL Band A
つぎへの1400→TOCFL Band B1
さらなる2700→TOCFL Band B1~B2
に該当する、と記述がありました。
と、言われても私のように簡体字中国語でしか中国語の検定試験を受けてこなかった人間としてはさっぱりレベル感がつかめません。
というわけで以前TOCFLの公式サイトが公開していた簡体字中国語検定試験とのレベル相関図を参考に示します。(なぜか今はこの相関図無くなっています。各検定試験のレベルにも変化があるからかもしれませんね。)
レベル | TOCFL | TECC | HSK | 中国語検定 | |
上級 | Band C | 精通級 (C2) | 1級 | ||
流利級 (C1) | 900∼1000 | ||||
Band B | 高階級 (B2) | 800∼899 | 準1級 | ||
中級 | 700∼799 | 6級 | |||
2級 | |||||
進階級 (B1) | 650∼699 | ||||
550∼649 | 5級 | 3級 | |||
初級 | Band A | 基礎級 (A2) | 450∼549 | 4級 | |
380∼449 | 3級 | 4級 | |||
入門級 (A1) | 準4級 | ||||
基礎 | 280∼379 | 2級 | |||
200∼279 | 1級 | ||||
入門 | 準備級 (Pre-A1) | 0∼199 |
ブログの表機能を使っている関係上、若干もともとの相関図とずれている部分がありますがご了承ください。
ここではざっくりどのくらいのレベルかを掴むことが目的ですので。
ちなみに日本中国語検定協会の公式サイトにあるレベル相関図は以下。こちらにもTOCFLとの比較がありますので合わせてご覧ください。

簡体字との対照を確認しやすくなっている各ページの構成
基本構成は下の画像に示す通り。

普通話に対照する字体の違う語がある場合は見出し語の下に表示されています。
各見出し語の右側にはその見出し語を使用した例文が載せられています。

台湾でのみ使われている単語には「普通話ではなし」と表記されます。

索引は出版社のサイトで公開されているPDFを活用するのが良し
それで、この単語帳シリーズの巻末の索引は「はじめの1000」のみにあって、「つぎへの1400」と「さらなる2700」にはありません。
「はじめの1000」の索引の構成を見るとご覧の通り、日本語訳単語から台湾華語単語を探るという非常に使い勝手の悪いものになっています。
一応巻頭部分に索引のPDFを参照できますよ、と出版社の書籍ページのURLが記されています。

それでこの索引の部分、出版元なのか、編集者なのか反省したのかわかりませんが、「つぎへの1400」以降索引はPDFファイルでの提供に変わり、書籍には索引ページを割いていません。
まぁこれは当然の措置かなと思います。アスク出版のサイトから、検索フォームに「台湾華語」と入力して検索すればそれぞれの書籍のページに行くことができ、音声なんかも聞くことができるようになっています。
索引PDFだと、例えば“儘管”(jǐnguǎn)を探す時にアルファベットで「jinguan」と入力すればいいのですごく便利です。

それで、このシリーズ今のところ「はじめの1000」と「つぎへの1400」は電子版が提供されていて、「さらなる2700」はまだのようです。いずれ提供されるのかな?
ハイレベル学習者向け「世界の言語シリーズ18 台湾華語(大阪大学出版会)」
大阪大学出版会、さすが一流国立大学だけあっていい感じのレベルの台湾華語学習本を出版しています。
台湾華語で台湾の歴史や言語文化について学べます。中級学習者向け、という位置づけのようですが、HSKのレベルで言うと6級以上くらいのレベルでないと活用できないでしょう。少し語彙が難しいです。
日本で出版されている台湾華語の学習書は大部分が初中級学習者向けのもので、レベル的に物足りないという方向けの学習書といえます。
内容紹介を引用すると、
本書は中国語中~上級学習者、特に大学で中国語を専攻する学生を対象とした、台湾華語(台湾で使用されている中国語)の中級レベルの教科書であると同時に、多言語社会台湾へアプローチするための入門書でもある。台湾人の歴史、アイデンティティ、言語などの30のトピックで構成されており、語学教材としての使用だけでなく、中国語を通して台湾に対する理解を深め、あわせて多言語社会について考えるきっかけとなるような、社会言語学の導入教材としての役割も兼ね備えることを企図した。
世界の言語シリーズ18 台湾華語(大阪大学出版会)https://www.osaka-up.or.jp/book.php?isbn=978-4-87259-343-3
大阪大学出版会のWebサイトでストリーミング音声が公開されています。
音声ファイルのダウンロードもできるようになっていますが、そちらのリンクは公開しないように、ということですので、書籍を購入して巻頭のページに記されているURLをご参照ください。
音声を聴いていただけるとわかると思いますが、台湾人ぽくない大陸の標準的な中国語のような発音ですね。
ナレーションは出版時に大阪大学の博士課程に在籍されていた張瑜庭という方で調べてみたら台湾の方でした。
紙の書籍版と電子書籍版の両方で購入可能です。
構成は各テーマに関する台湾華語で書かれた文章があり、単語リスト、それから文中に出てくる文法解説となっています。

大学のテキストとして用いられているのでしょう、テーマの終わりの部分には「討論のタネ」として各テーマの文章についての討論のポイントが示されています。

これ、もし中国語レッスンなんかに使えるなら最初に朗読をチェックしてもらい、その後この討論テーマに沿って中国語で講師と討論するなんてのもいい活用法になりますね。
あと、使い勝手の良いポイントとして、日本語訳は別冊で用意されているので、別冊を取り外して本文と訳文を同時に見ながら参照しやすくなっています。

日本人が知りたい 台湾人の当たり前 台湾華語リーディング(三修社)
こちらの本も「世界の言語シリーズ18 台湾華語」同様、中級レベル以上の学習者向けとなっています。
「世界の言語シリーズ18 台湾華語」に比べると「日本人が知りたい 台湾人の当たり前」の方が台湾人の日常生活、習慣にフォーカスしたテーマが多くなじみやすいでしょう。
難しい社会問題はそれほど多く扱ってないので内容を理解しやすいと思います。
扱うテーマは50テーマ。各テーマではまずそのテーマについて見開きで台湾華語と日本語訳のそれぞれの文章があり、その次のページにそのテーマについての対話が同じく台湾華語と日本語訳で載せられています。

本書の音声はaudiobook.jpからアプリを通して提供と書いてあって、「うわ、audiobook.jpかよ」と一瞬ちょっと嫌な印象を受けました。
昔はaudiobook.jpも音声ダウンロードにも対応していたんですが2021年10月31日でダウンロード音声提供終了してしまい、アプリからしか音声再生できないのはちょっと不便だな、と。

そしたらいつからかわかりませんが、出版社サイトの本書のページで音声ダウンロードできるようになっていたんですよ。
ストリーミング音声でもすべてのトラックが視聴できるようになっています。
日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング|音声ページ|三修社
音声のナレーション担当は発音の漢字から男女とも明らかに台湾人ですね。
音声で一つ残念なところがあるとすれば、対話部分の音声はあるのですが、テーマの最初の文章の朗読音声などは無い、という点。この部分の朗読音声もあったらランニング中などのながら学習の活用効率がかなり上がるのに…。
ちなみに、同シリーズで簡体字の普通話の「日本人が知りたい 中国人の当たり前 中国語リーディング」というのも出ています。
他、おまけ程度の台湾華語旅行向け会話勉強本
巷にある、中国語学習歴ゼロの人でこれから台湾旅行行く人向けの旅行用台湾華語学習本(カタカナ振り仮名のタイプとか)はいくつかありますが、うーんどうでしょう、正直あまり役に立たないと思います。
その理由としては中国語は声調のある言語ですから声調をマスターしないといくらカタカナに矢印で斜め上だの下だのと声調のイメージを示すヒントが添えてあっても、本来の成長通りに発音するのはほぼ不可能ですからね。
こちらが必死にカタカナ中国語連呼しても全く通じないなんてことはざらにありますから。
一応最初のすべての教材の写真の中に移りこんでいた一冊を紹介します。
「バッチリ話せる台湾華語 CD付」という本です。
初めて台湾行った時いくつかこの中のフレーズ頑張って使ってみたんですが一つも通じませんでした。
これと同じく別の機会に「旅の指さし会話帳8 台湾」を持って行ったのですが、これも口頭で発するだけでは全く通じず。

「旅の指さし会話帳」は用途としては声に出して使うのではなく、その名の通り本の一部を指さして自分の意図を伝えるという使い方の方がよっぽど活用できますね。
それで、では中国語力が全くゼロの人が台湾旅行に行くなら直前に何を覚えるべきか?
書籍の内容を無理に網羅しようとはしない、絶対に無理ですので。
ここはもう割り切って“我要这个”、“我要那个”、“多少钱”、“要”、“不用”とあとは数字を一~数千まで完璧に言える、聴き取れるだけを集中してやった方がよっぽど良いですね。
う~ん、数字を覚えるのは少しハードルが高いでしょうか‥頑張って覚えましょう(笑)
オンラインレッスンで台湾人講師から台湾華語を学ぶならDMMの中国語レッスン
私は【CCレッスン】
で中国語会話を学んでいるという事はすでに述べておりますが、ではこれからゼロから台湾華語を学ぶ人にオススメするオンライン中国語レッスンは何かと言われたらDMMの中国語レッスン
(正確にはプラスネイティブプラン)をおススメします。
DMMのプラスネイティブプランの中国語講師は全て台湾人で、用意されている教材も繁体字教材となっています。
予約の仕組みもDMM英会話の英語講師の予約同様講師の空きがあれば15分前までの直前予約ができます。
現状それほど台湾人講師は多くないものの、DMMで中国語を学んでいる人も少ないようで比較的予約は取りやすくなっています。
また、プラスネイティブプランなら中国語と英語(または韓国語)を月のうち半々で学ぶなんていう自由度の高いレッスン選択もできます。
DMMのプラスネイティブプランの中国語レッスンの模様については過去に記事を投稿しておりますのでそちらをご参照ください。

それで、CCレッスンにも台湾人講師が何人かいますが常時レッスンをオープンしている講師数は少ない状態です。
ただし、中国人でも南部の講師は発音が台湾人に近いのでプロフィールから南方の講師を調べて選ぶのも一つの手でしょう。
また大陸の中国人と繁体字テキストを使ってレッスンをやったことがありますが、講師からすると繁体字を読むのにはほとんど問題なく読めるんだそうです。
そりゃそうでしょうね、簡体字で中国語を現在学んでいる私ですら繁体字の文章割と読めるようになってきているわけですから、中国語ネイティブの中国人からすると簡体字だろうと繁体字だろうとなんてことないでしょう。
したがって、台湾人の発音に特にこだわりが無ければCCレッスンで繁体字テキストを使って中国語を学ぶのはそれほど支障はないでしょう。
私個人の経験で言うと、確かに台湾人の発音には初中級段階では聴きとるのに相当苦労しますが、ある程度中国語ができるようになってくると台湾人の中国語も少しずつ聴きとれるようになってきました。
各人がこの先大陸の中国語を多く使うのか、台湾で中国語を使うのかによって追加で台湾人の音声を聴くトレーニングをするかどうかを決めれば良いのではないでしょうか。
CCレッスンの解説記事もありますのでこちらをご参照ください。

台湾人の台湾華語の発音に慣れるのに活用しているYoutubeチャンネル
最近はいい世の中になったものです、Youtubeに台湾人の生の発音に触れることのできる素材がいっぱい落ちているのですから。
台湾華語の学習書に付属する音声はどうしても”クリア”すぎます。きれいに発音しすぎ、という意味です。
実際に街中で台湾人が話している台湾華語を話すスピードは教材の音声の比じゃないくらい速いですし、前述しましたように一部の台湾人はあまりはっきり一語一語を発音してくれないのでなおさら聴き取りづらいのです。
それでもそれが「スタンダード」なわけですから、文句など言っていられません。もう慣れるしかないんです。
生の台湾華語を題材にしている台湾華語学習チャンネルを二つほど紹介します。
速すぎてほぼ聴き取れない?台湾人のリアルなシチュエーションを題材に学べる「台湾で使える中国語」
ドラマやイラストを使った仮想シチュエーションの他に、実際に店員とのやり取りを録音したものを題材などにして台湾華語の口語を学べるYoutubeチャンネル、「台湾で使える中国語」。
私個人が一番活用させてもらっているのが「台湾人とのリアルな中国語やりとり」シリーズ。
もうね、1回目では絶対聴き取れないだろうってくらい話すスピード速いし、はっきり話してくれないしって感じで。
以下の動画の最初のシーン、スターバックスの店員とのやり取りなんて台湾人同士でも会話ほんとうに通じているの?疑いたくなるくらい速いです。
私はこれを「修行素材」として完全に聴きとれるようになるまで冗談抜きで十数回とか聴き続けたりしています。
初学者向けだが台湾人とのリアルなやり取りシーンは上級者でも十分活用価値ありの「Y&K中国語会話」
日本人と台湾人夫婦が運営しているチャンネル。基本文法や基本の言い回しを教示しているコンテンツが中心です。
その中でタイトルに「リアル~」とあるのを中心にチェックしています。このタイトルの動画には店員とのリアルなやり取り中心の内容となっており、生の台湾人の口語に触れることができます。
文章添削、文法の他にリアルな日常会話も豊富な「台湾華語・中国語 SHO_CHANNEL」
最初の方でもSHOさんの動画埋め込みしましたが、こちらのチャンネルでは店員とのやり取り以外に台湾人同士(家族や友人)との会話などをアップしていてくれます。
関係の近しい人とどのようなリズムで会話をしているのか、など知ることができます。
その他の参考チャンネル
以下で紹介するのはまったくの個人的な趣味や興味で、台湾華語を学ぶため、というより台湾華語でコンテンツを楽しみつつ、ついでに耳のトレーニングになればいいなと言う感覚でダラダラ見ているだけのチャンネルです。
主に台湾人が日本の観光地を紹介しているようなチャンネルが多いです。出てくる言い回しを真似して台湾人に日本を紹介する時などに使えます。
日本観光系
Merry Journey – YouTube https://www.youtube.com/@MerryJourney醉旅宿
瓶顆旅居日本中 – YouTube https://www.youtube.com/@yuniquecc
台湾人に日本語の説明をするときに役立つ
Amber.L – YouTube https://www.youtube.com/@amberjapanese
日本社会問題系
台客劇場 TKstory – YouTube https://www.youtube.com/@TKstorytw
Ben桑日本漫談 – YouTube https://www.youtube.com/@bensanjpn
これだけでなく、他にも登録YouTubeチャンネルをチェックしてみたらあと30数個台湾関連のチャンネル登録していました。
まぁ、YouTubeの素材に関しては個人の好みで良いでしょう。
それで、私の趣味の一つに登山があるのですが、そんな人向けのチャンネルに台湾人kokoさんの以下のチャンネルがあります。
柯式野生活 (koのアウトドアライフ) – YouTube https://www.youtube.com/@koko_outdoorlife
この方の台湾華語、ザ・台湾人て感じでごにょごにょ発音で聴きとりにかなり苦労しますが、いい耳のトレーニングになります。
私事ですが、今月上旬(2025年8月)、一回り年下の中国人の友人と上高地から奥穂高岳を目指してテント泊での登山にいっておりました。
彼にとっては人生初のテント泊登山で私にとっては17年ぶりの上高地(笑)
日本アルプスの山々を登るのが彼の夢で、彼から去年の段階で今年の夏一緒に上高地に行ってもらえないかとお願いされていたのでした。
ただ、そのタイミングで十数年ぶりというレベルの大雨に遭遇し涸沢カールで幕営し、登頂は目指さず早めに下山を決定、撤収しました。
東京に戻ってきてネットを見ていたらニュースになっていたほどです。
もしそのまま山頂を目指していたら、山頂から戻ってきたときにベースキャンプのテントは流されてしまっていたかも…。
そんななかなか経験できないレベルの山行でしたが、初テント泊登山にテンションが上がっていた彼にとってはそれもエキサイティングな経験だったようで、中国人らしくしきりに中国語でぶつぶつと実況のようにしゃべりながら動画を撮っていて最終的には楽しめたようでした。
私にとっては山岳の中国語を学ぶいい機会となりました。
皆さん「テントを設営する」、を中国語に訳すとしたら動詞は何を使いますか?
“搭帐篷”と言うんですよね。今回初めて知りました。
以下が私たちが登ったときの様子の一部です。下山時には登山道が川のようになっていましたし、先ほどのニュース映像で分かるように、テントを張っていた場所も川になっていたのです。
初日、二日目は天気よかったんですけどね…。帰りはバスが運休したりして大変でした。
まとめ
私はもともと台湾に興味を持ったことがきっかけで中国語の勉強を始めました。
それならば始めっから台湾華語を専門に学べばいいではないか、という話になりますが、巷にある中国語学習用の書籍は圧倒的に大陸の普通話向けのものが多かったこと、どうせ中国語学ぶのであれば普通話を学べば大陸でも台湾でも中国語使えるようになるから普通話を学んでしまおうと「よくばり」な意図から普通話で中国語を学ぶことを選択したのでした。
ほら、日本語の漢字はどちらかといえば繁体字寄りじゃないですか、ですから繁体字はおそらくなんとなく見てわかるだろうとという算段で普通話を選択したのもあります。
簡体字はまったく原型をとどめていないような簡略化をした漢字も多く、ぱっと見では日本語のどの漢字に該当するかアタリを付けるのが困難なものが多いですし。
実際には繁体字の中にも日本語の漢字にアタリをつけて対照させるのがひどく難しいものもいっぱいあって今回旅行用に限定とはいえ割と苦労はしていますね…笑
これから中国語を学び始めようという方の中には私が中国語学習を始めた当時と同様に「普通話」で学ぶべきか、「台湾華語」で学ぶべきか、迷っている人も多いと思います。
もし超ハイレベルな専門的なビジネス中国語を将来的に使う予定であればそれはやはりその時にどちらの地域で働くかに合わせて選ぶべきです。
難しい用語になってくると今回のような旅行用語の照らし合わせ程度では済まないですからね。ビジネス文書などは素早く読んで理解することが求められるでしょうし。
それ以外の「そこそこ」使える中国語レベルなら、私の経験からすると結局のところどちらで学んでもいずれ何とかなる、ともいえます。まぁ私の場合まだそこまで高いレベルの中国語を使っていないので偉そうなことは言えないのですが…。
またレッスンを開始する場合予算との兼ね合いや、レッスンを受講できる時間帯、予約の取りやすさなんかも関わってくるでしょう。
台湾華語レッスンの場合講師の絶対数が少ないですからその分予約の自由度も低くなってしまうのが悩みどころ。
とりあえずあまり事前に悩みすぎず、体験レッスンをバンバン受講してみてから検討する、ということをお勧めいたします。
格安系オンライン中国語レッスンの比較記事も書いていますので、そちらもご参照ください。
