スクリブルとは
今更ながらスクリブルを使った中国語のテキスト入力についての内容を紹介いたします。
スクリブルとはiPadOSで利用できる手書き入力機能。
この機能を使うと、Apple Pencilで手書きした文字を自動的にテキストに変換することができます。例えば、メモアプリや検索フィールドに手書きで入力すると、それがテキストとして認識されます。
スクリブルが導入されたのは2020年でその時すでに、英語以外に中国語の簡体字にも対応していたのですよね。
iPad OS 15以降から日本語にも対応。これが2021年の事。
そんな若干出遅れ気味ともとらえられるタイミングでスクリブルの内容について投稿しようと思ったのは、意外とスクリブルの中国語入力機能について紹介しているサイトや動画が少なかったから。
スクリブルで手書きした中国語入力の基本操作
正確かつクイックレスポンスなテキスト変換機能
では早速中国語を手書きしたときの基本的な挙動について見ていきましょう。最初に入力言語を中国語に設定しておきます。
ざっくりとしたイメージは上の画像のように、割と雑にiPad上の適当な場所に中国語を手書きし、書き終わると0コンマ数秒で中国語テキストに変換してれるというもの。
これ、結構感動しますね。上の画像はかなーり汚い字の簡体字を書いた例なんですが、しっかりと自分の意図する字に変換してくれました。
これまで使用した感覚だと私個人の字では99%意図したとおりに変換してくれます。
実際に使ってみた様子は以下の動画にて。動画を見るのが一番わかりやすいでしょう。
使用しているのはiPad mini 第5世代とApple Pencil第一世代です。若干古いですが、問題なく機能しました。
iPad miniでは第5世代以降であればスクリブルの機能が使えるとのこと。iPadOS 15以降のiPadなら使えるようです。
テキストエディタ系のアプリでは、iPad純正のメモ、Pages、Keynote、GoodNotesなど対応していますし、スプレッドシートのNumbersも使えます。
スクリブルを設定して準備
iPadでスクリブルを使えるようにするための設定は以下です。
設定メニュー>Apple Pencilを開いて(①)、スクリブルをオンにします(②)。
先ほど貼り付けてあった動画の冒頭のデモは③のスクリブルを試すをタップすると開始します。
このデモは使い方がわかるようになるまでちゃんとやった方がいいですよ。とはいっても2,3分あればマスターできます。
上の画面では入力言語を「中国語繁体字」の状態でスクリブルを試す、を起動したため中国語繁体字のデモとなっていますが、日本語でデモを行いたければ、入力言語を日本語に変更して試してください。
私は「大体わかんだろ、こんなの」と、デモをものぐさしていい加減に済ませて使い始めましたが、文字の挿入の仕方とかわからなくなってイライラしてしまい、結局デモをもう一回試したので必ずデモはやりましょう。
あと、動画では字幕でさらっと触れていましたが、超基本設定としてテキスト入力モードは左下のペンに「A」のマークがついているモード(鉛筆)を選択しないとできません。
動画の中で触れていなかったのですが、誤字の修正方法は消して挿入だけでなく、下の画像のように修正したい文字を選択して、文字を書き直すことでもできます。
簡体字と繁体字をごちゃ混ぜに書いてもどちらかの文字に自動変換
これはどういうことかというと、入力テキストを「簡体字」モードにしていれば、簡体字と繁体字をごちゃ混ぜに書いても書いた文字がすべて「簡体字」に変換されるし、「繁体字」モードなら「繁体字」に自動変換されるのです。
この機能、めちゃくちゃ台湾人が重宝するんだそうです。
ご存じの通り台湾人は画数の多い「繁体字」を使いますが、普段メモを取ったりするときは簡体字と繁体字を混ぜて書く人が多いんだそうです。
しかしある程度正式な文書の場合は当然繁体字に統一しなければなりませんが、このスクリブルの自動変換機能を使えば、字体を気にせず文字を書く事ができるわけなんですよね。
サインペンモードなどで書いた「グラフィック」の文字も認識できる
また、参考情報となりますが、鉛筆モード以外のサインペンで書いた文字も後からテキスト認識してコピーペーストもできるのです。グラフィック扱いではあるのですが文字認識をかけられるんですよね。
上の画像にあるように、グラフィックで書いた文字を指でなぞると選択できます。
その状態で浮かんできたメニューの中に「テキストとしてコピー」があるので、それを選択。
すると、以下のようにテキストがコピーペーストできます。
この「指でなぞる」機能は正式になんていうんでしょうかね?私はオーストラリア人のYouTubeを参考にさせてもらったのですが、そこでは「マジックフィンガー」と呼んでいました。
この「マジックフィンガー」、うまく選択するコツは最初に指でなぞるとき、気持ち長押し状態にしてから指を滑らせるとうまく機能しました。
なぜあえてスクリブルで中国語入力?
どうせ書くならデジタルデータとしてテキストを残しておく
このブログを読んでいる方の中には、中国語のフレーズを書きながら覚える、という人も多い事でしょう。
特にオンライン受験の選択肢の無い中国語検定取得を目指す場合、どうしても筆記で中国語を書く必要があり、字が書けないようだとお話になりません。
もちろんHSKでもオンライン受験でないのなら手書きで中国語を書く必要があるので中検同様中国語はやはり書けないといけません。
私もご多分に漏れず、結構字は書いて学びます。かといってノートをきれいにとるとかはほとんどしません。
廃棄予定のコピー用紙の裏紙にバンバン走り書きして、基本記憶するためだけに書いています。
少し前に中国語検定準一級を予行演習として受けてみて、筆記の語彙力を測るパートの得点率がかなり酷く、秋の本番までに何とか語彙力を上げなければならなくなりました。
語彙力のパートは特に成語、慣用句の意味が問われる問いが多く、以下の参考書を使って勉強し始めています。
この本の難点は音声が無いこと(CDも付属なし、ファイルのダウンロードも無い)。2012年発売と若干古め。
まぁ、とりあえずピンイン表記はあるし、自分で何度も口に出して暗唱し、完璧に暗唱出来るようになったら何も見ずにコピー用紙の裏紙にフレーズを書という、といつものやり方で覚えていくか、と取り組もうとしました。
そこで、
でも待てよ?そういえば中国語の手書き入力をテキスト化できる機能ってなかったっけ?もしフレーズのテキストデータがあれば、読み上げソフトとかで音声つくれるかも?
と思いついたのでした。
どうせ時間をかけて最後まで字を書くのだったら、その字がテキストデータ化されれば読み上げ音声化だけでなく、後々何かで再活用できるかもしれません。テキスト検索もしやすくなります。
裏紙に書いた字は捨てるだけですから投下する時間がもったいないなと感じました。
そんなわけで、今回スクリブルでの中国語入力にたどり着いたわけです。
まだまだ始めたばかりですが、「漢字を書きつつデジタル化」、これは結構効率のいい、悪くないやり方だと考えました。
スクリブルの機能は、もし書き間違いが無いのであればキーボードで打つのと同じくらいのスピードで文章をテキスト化できます。
これは、ピンイン入力の場合文字によっては4、5回キーを押して一文字という事もあるためです。
スクリブルの場合簡体字をかなり雑に書いても結構認識してくれるので想像するよりは文字入力は速く感じるでしょう。
と、こんな風に書くとキーボード批判一辺倒になってしまうので、補足としてキーボード入力の利点も挙げておきます。
人によってはキーボードを打つ時にしっかりとピンインを意識して発音を覚えながら中国語を打ち込めるかもしれません。また、中国語初級者の場合はキーボードで中国語を入力するのはピンインの確認になるのでそれはそれである一定の効果はあります。
ちなみに、ですが中国語の慣用句(成語・慣用表現)などを初めて本腰を入れて学ぼうという場合は以下の音声付きの本の方がおススメです。
読み上げ音声がついているというのは当たり前にアドバンテージですし、移動中や運動中も学べて使い勝手がいいです。
それだけでなく、各ページに掲載されている四字成語がすべて入れられている会話ダイアログが作成されていて、さながら英単語帳で有名なDUOの慣用句版のように効率よく学習することができます。
スクリブルで中国語入力しながら学ぶときの注意点
スクリブルで中国語入力するのは、あくまでも紙上と同様、「字を書いて学ぶ」のが目的で、テキストデータ化は付随的なもの。
今回スクリブルで中国語入力していて、入力することばかりに気を取られて意味を全く意識せず書いてしまう、という事がありました。
例えて言うなら、音読するときに音を発することばかりにとらわれてその語句の意味を同時に掴むことをしていないようなもの。
これはカラオケを歌っている時に意味はあまり深く考えず画面に出てきた文字をとにかく音程に合わせてうまく歌う時の状態に似ているでしょう。
「読み書きしながらも意味をとらえる」は中級レベル以上になったら結構重要。
実際の会話を想像してみてください。
実際の会話は原稿をうまく読み上げるスピーチコンテストではありません。言葉を口に出しながらも、その意味を同時に理解してなければ会話にならないのは当たり前です。
「字を書いて学ぶ」場合も、ただ字だけを書く、ではなく同時並行で意味をしっかり意識し、意味をとらえながら読み書きしなければなりません。
書きながらも意味も理解する、読みながら意味も理解する、口に出しながらも意味も理解する、という複数の働きを脳で行うトレーニングを積まなければなりません。
繁体字学習ツールにもなるスクリブルの中国語入力
前の項で該当テキスト部分を選択してから、繁体字⇔簡体字の変換ができる、と紹介いたしました。
皆さんの中には将来的に台湾で中国語を活かしたいと考えて中国語の勉強を開始した人もいることでしょう。
よし、台湾華語の勉強するぞと思い立ったものの、日本では圧倒的に簡体字教材が多いし、中国語教室も大陸の中国語向けばかり。
とりあえず簡体字は日本の漢字とだいぶ字体が違うから先に簡体字中国語学んでみて、後から繁体字も覚えるなら両方覚えられて一石二鳥なんて考えた方もいるんじゃないでしょうか。
そんな方に、この繁体字⇔簡体字の変換機能はとても役に立ちますね。
例えば、簡体字でテキスト化したフレーズをコピーペーストし、ペーストしたフレーズ全体を選択してから繁体字に変換することで、簡体字、繁体字の両方の字体のフレーズを併記させるとか。
または、「この字繁体字にするとどういう字なんだろう?」って時に即変換できるので、繁体字の確認にも使えます。
今までは、繁体字⇔簡体字変換サイトのフォームなどに該当のフレーズをコピーペーストして変換させなければなりませんでしたのでだいぶ便利になります。
余談ですが、先日誠品生活日本橋の台湾関連本コーナーで台湾華語の単語帳を目にしました。
「台湾華語単語 はじめの1000」「台湾華語単語 つぎへの1400」とシリーズになっていますが、ざっと見た感じ簡体字中国語ですでに学んでいる人は、一番上級の「台湾華語単語 さらなる2700」だけでいいんじゃないかと思います。
初級、中級レベルの単語は結構簡体字と似ていたりする漢字が多く、簡体字を学んでいれば一目見てわかるからです。
iPad新モデルで快適スクリブル中国語学習ライフを
中国語学習ツールとしてのスクリブル機能の使用例を紹介してきました。
今回スクリブル機能を中国語テキスト入力に使用してみて、想像以上に快適に使えたのを実感しました。
この記事の投稿日の2週間ほど前の2024年5月の始めに新型のiPad製品のラインナップが発表されました。
「iPad Air(第6世代)」5月15日発売 11型と13型の2モデル展開、「M2」チップ搭載で9万8800円から – ITmedia Mobile
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2405/07/news166.html
私が使っているiPad mini 5 ですとやはりスクリーンが小さくて、少し長いフレーズを書こうとすると区切りのいいところでテキスト変換させて、再び書き始める、という操作を強いられます。
スクリブル機能使うならやはり大きな画面に書き込みたくなります。
円安で若干お値段お高めですが、その中でもiPad Airの11型、13型は動作がサクサクしているようで魅力的ですね。
デカい13型使ってみたいです。お値段は128,800円(税込)から。
新型iPad Proなどの発表で数千円値段が下がり始めているベーシックなiPad 第10世代とかでもいいかも。
後は中古品の旧モデルも値下がりしているので、購入するにはいいタイミングでしょう。
と、そんなことを想っていたら以下の記事にあるようにAmazonで整備済みiPadのセールが始まっています。
整備済みiPadがAmazonでセール、iPad mini(第5世代)やiPad Pro 12.9インチ(第5世代)など – ケータイ Watch
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1594247.html
安いモデルだと大体2,000円位はどれも値下げされていますね。手書き専用+αで使うだけなら以下のモデルが手ごろでしょう。
Apple PencilはProモデルだと2万円越えしてしまいます。今回のように中国語を書くだけだったら一番安いUSB-Cモデルでもよいでしょう。
ただし、Apple Pencilの第一世代とUSB-Cタイプ、第二世代とで対応デバイスに違いが結構あるので、古いモデルのiPadでスクリブルを活用したい方は、以下のページ参考に事前にチェックしましょう。
iPad買うなら、どのApple Pencilを選ぶべき? USB-C対応版登場であらためて考える [iPhone駆け込み寺] – ケータイ Watch
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/review/iphonetips/1546217.html
iPadは高すぎるという人はAmazon Fire HD 10(第13世代以降)+Stylus Penで
iPadでの手書き中国語入力を紹介しましたが、「やっぱり高すぎる!手書きだけの為に10数万もするデバイスは買えん!」という人もいることでしょう。
実はAmazonのタブレットでも最近のモデルはアップルのスクリブルと同様の機能でスタイラスペンを使うと手書きテキスト入力ができます。
以下のwebページを参照するとわかりやすいです。
「Fire HD 10」第13世代モデルが新登場! 新たに対応したスタイラスペンによる手書きの実用性は? – ITmedia PC USER
https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/2311/16/news098_2.html
スタイラスペンは筆圧感知のモデルもありますが、手書きテキスト入力だけならベーシックな安いモデルでいいでしょう。
AmazonのテキストエディタアプリはMicrosoft OneNoteなんかがPC、スマホなどと動機できて便利でしょう。